親告罪とは?告訴がないと起訴できない?刑事事件に詳しい弁護士が解説

親告罪について

告訴(犯罪の被害者その他一定の関係者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の訴追ないし処罰を求める意思表示をすること。)がないと、公訴を提起することができない犯罪を、「親告罪」といいます。
公訴を提起することでその刑事事件の存在が明るみとなり、かえって被害者の不利益になるおそれのある事件(例:名誉毀損罪)、被害が軽微である事件(例:過失傷害罪)、または当事者間で解決を図ることが望ましく考えられる事件(例:親族間で発生した窃盗罪)等について親告罪が定められています。

親告罪に該当する犯罪

親告罪とされている犯罪はいくつもありますが、常に告訴が訴訟のための条件となる犯罪としては、「過失傷害罪」、「未成年者略取誘拐罪」、「名誉毀損罪」、「侮辱罪」、「器物損壊罪」などがあります。
なお、近年の法改正で、強制わいせつ罪や強姦罪(強制性交等罪に罪名を変更)は、非親告罪になりました。

一般に親告罪ではないものの、犯人と被害者が親族関係にある場合に限って告訴が訴訟のための条件となる犯罪としては、「窃盗罪」、「詐欺罪」、「恐喝罪」、「横領罪」、「業務上横領」などがあります。

告訴とは

親告罪は、被害者その他一定の関係者からの告訴がなければ起訴することができません。告訴は、被害届とは異なり、単に被害を申告するだけでなく、犯人を処罰することを望む意思も含む申出となります。
告訴は基本的には被害者本人が行いますが、被害者が未成年の場合には、その法定代理人も告訴をすることができます。また、殺人事件など、被害者が死亡している犯罪では、被害者の配偶者や親族が告訴をすることができます。
親告罪の告訴は、原則として、犯人を知った日から6ヶ月以内に行なわなければなりません(刑事訴訟法235条1項本文)。
なお、親告罪ではない犯罪では告訴期間の制限はないので、公訴時効の期間内であればいつでも告訴が可能です。

告訴の受理

告訴をするときには、生じた犯罪事実を特定する必要があります。このときに、犯罪事実が不明瞭であったりすると、捜査機関が告訴を受理することを拒否することがあります。また、告訴の要件は揃っているにも関わらず、民事的解決を進めるなどして告訴が受理されないこともあります。
そのようなときには、弁護士と一緒に資料を整理し、いかなる犯罪が成立するかを明確にして告訴をすることで、手続がスムーズに進められることが考えられます。

親告罪に該当する事件を起こしたら場合に弁護士ができること

示談交渉

親告罪は、告訴がなければ、加害者を起訴することができません。
したがって、被害者との間で、速やかに示談を成立させ、告訴を取り消してもらうことができれば、それ以上、捜査が進むことはありません。また、一度告訴を取り消した場合には、再度告訴をすることはできませんので(刑事訴訟法237条2項)、再度捜査を受ける不安や将来的に起訴されるのではないかという不安からも解放されます。これは、警察に逮捕されて、身柄を拘束されながら捜査を受ける身柄事件の場合であっても、逮捕されずに必要なときに捜査機関に出頭して捜査を受ける在宅事件の場合であっても、同じです。

もっとも、被害者は、加害者と直接連絡を取り合うことは絶対に避けたいと考えている方がほとんどです。ですので、示談交渉を検討されている方は、代理人を立てて交渉を行なうことになりますが、事案に応じて適切な内容の示談合意書を取り交わしたり、警察官や検察官と連絡を取り合って、示談交渉が完了するまで時間的猶予をもらったりと、示談交渉においては、専門的な知識とテクニックが必要になることが多いです。
刑事事件に精通した弁護士であれば、示談交渉の経験回数が多く、ノウハウも多く蓄積しています。

被害者との示談交渉をご検討の方は、ぜひ一度、刑事事件の取扱いが多い事務所の弁護士に、ご相談されてみてください。

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

刑事事件について高い専門性とノウハウを有した6名の弁護士が在籍する法律事務所です。

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