目次
自首とは?
自首の要件とは?
自首とは、罪を犯した者が、自ら捜査機関(警察・検察等)に対し、自分が犯した罪を自発的に申告し、その処分を求めることをいいます。
自首は自発的に申告することが求められており、かつ、犯罪事実及び犯人が捜査機関に発覚する前にする必要があります。
犯罪事実も犯人も捜査機関に全く発覚していない場合には、もちろん自首が成立します。また、犯罪事実は発覚しているが、犯人は全く発覚していないという場合にも、自首が成立します。これらとは異なり、犯罪事実も犯人もすでに特定されている場合(捜査機関の取調べに回答する形で自白した場合など)は、有利な情状になる場合はあっても、法律的には自首にはなりません。
ただ、別の事件で取調べを受けていて、捜査機関に発覚していない余罪を自白したというような場合であれば、自首に当たります。
以上から、自首の要件は、①犯罪事実及び犯人が捜査機関に発覚する前に、②自発的に罪を申告し自身に対する処分を求めることであるといえます。
自首と出頭の違い
前述のように、自首は犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前しかできませんので、捜査機関においてすでに犯罪事実及び犯人が特定されている場合には、捜査機関に申告をしても自首には当たりません。
捜査機関に犯人や犯罪事実が特定されている場合は、単なる出頭となります。
映画やサスペンスドラマ等で刑事が犯人に自首を勧めるという映像を見かけることがありますが、そのような場合、警察がすでに犯人を特定しているため法律上の自首には当たらないのです(ただ、出頭して捜査に協力したことが量刑や処分において有利になる場合はあります。)。
自首による刑の軽減
刑の減軽
自首が成立した場合、裁判所は、自首した者に対する刑を減軽することができます。刑法42条には自首があった場合に「その刑を減軽することができる」と定められています。刑の減軽の方法については以下のとおりです(刑法68条)。
死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮とする。
無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、七年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。
罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。
拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。
科料を減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。
以上は、自首をすれば必ず減軽されるということではなく、減軽される場合もあれば、減軽されない場合もある(「減軽することができる」)ということです。ただし、一部の犯罪については、必ず刑の減軽や免除をしなければならないとの特例が設けられている場合もあります(刑法228条の3、身の代金目的略取等予備罪等)。
自首による刑の軽減
自首による刑の減軽が認められているのは、
・犯罪の捜査及び犯人の処罰を容易にさせるとともに、無実の者の処罰の危険を避け、あるいは予備罪等について犯行の着手を未然に防止できること。
・犯人の改悛による非難が減少する。
この2つの観点からとされています。
捜査機関が犯罪事実や犯人を特定しているため、法律上の自首にはならないけれども、自主的に出頭する場合は、上記の前者の理由は当てはまりません。しかし、犯人の改悛は認められる場合はあります。そのため、自主的に出頭したということが、処分や量刑において評価されることはあり得ます。
弁護士に依頼するメリット
○自首が有効なのか検討できる
前述のように、自首が有効に成立するためには、犯罪事実及び犯人が捜査機関に明らかになっていない段階で行う必要があります。そのため、ご本人が自首だと思っていても、自首が有効に成立しないという場合もあります。
当事務所の弁護士は、自首案件を含む刑事事件の経験を豊富に有しており、事件の経過や現在の状況を詳しく確認し、自首が有効に成立するのか、処分や刑の減軽等は期待できるのかといった点について相談をお受けすることができます。
○自首に同行できる
弁護士が、依頼者様の自首に同行することもできます。
自首する場所は、自宅の最寄りや事件の管轄の警察署の場合が多いと思われます。自首の方法は、捜査機関に出頭し、自身が関与した犯罪事実を告げ、自身に対する処分を求めれば足ります。
捜査機関が自首として扱えば問題ありませんが、申告の内容が不十分であったり整理されていなかったりすると、捜査機関において自首として扱われず、帰されてしまう場合もあります。いざ警察官を目の前にすると、非日常的な状況ですから、言いたいことも言えなくなってしまうことも珍しくありません。そのような場合には弁護士が状況を説明し、きちんとした証拠となる「自首調書」の作成など、適切な処理がなされるよう働きかけます。
また、弁護士が同席することで、不当な取調べなど、被疑者となってしまった依頼者様が不利益を被ることがないように対応することもできます。自首や出頭を決断されたのであれば、弁護士と相談し申告する内容を準備されるとよいでしょう。
〇逮捕されても迅速に弁護活動を始めることができる
仮に、自首の結果、事件の捜査が進み逮捕されてしまった場合でも、身体拘束からの早期解放や不起訴処分を目指すためには、早期から弁護活動を始めることが重要です。依頼者様が事前に自首や出頭の相談を弁護士にされていた場合、弁護士は、事件や依頼者様の置かれている状況をすぐに把握することができるため、迅速に弁護活動を始めることができます。
解決事例
自首が有効に作用し、刑が軽くなった(不起訴処分を獲得した)ケース
当事務所の弁護士は、どのような事件であるかを問わず、依頼者様のご意向を最大限尊重し、自首という選択肢を積極的に勧めています。その結果、自首が有効に作用し、刑が軽くなった(不起訴処分を獲得した)実績を豊富に有しています。
例えば、児童買春をしてしまった事例や児童ポルノを製造してしまった事例において、捜査機関への発覚は時間の問題と考えられたことから、依頼者様が自首をし、その後の捜査にも協力し、結果として不起訴処分となった実績が多数あります。窃盗・恐喝・横領などの財産犯においても、自首をし、その上で積極的に被害者にアプローチし、示談を行い、結果として不起訴処分となった実績があります。
このように、多くの場合、自首は処分や刑を軽くするのに有効な手段です。特に、特定の被害者がいない犯罪類型では、被害届が提出されていないことなどから、捜査機関が事件を全く把握しておらず、自首が有効に作用するケースが多いです。
依頼者様が自首をされる場合、当事務所の弁護士は、依頼者様の事情に着目した陳述書の作成や自首への同行、その後の取調べに関するアドバイスといった手厚いサポートを行わせていただきます。そうすることで、依頼者様の自首という勇気ある決断が無駄にならないよう全力を尽くします。
自首によって逮捕を免れたケース
当事務所の事例では、自首によって逮捕を免れたケースが多くあります。むしろ、自首した事例の多くで逮捕を免れ、在宅捜査で決着しています。
自首は、処分や刑を軽くするのに有効な手段であるだけでなく、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことをアピールする有効な手段でもあります。
依頼者様が自首をされる場合、当事務所の弁護士は、依頼者様にとって有利な事情を収集し、陳述書や捜査機関宛ての意見書を作成するなどして、逮捕・勾留等の強制捜査とならないよう全力を尽くします。
自首によって事件化されなかったケース
自首によって、そもそも事件化されなかったケース(不立件となったケース)も存在します。
当事務所は、窃盗・恐喝などの財産犯において、自首と同時並行で被害者との示談を進め、事件化そのものを阻止した解決実績を有しています。
このように、必ずしも「自首=事件化」ではありません。比較的軽微な事案においては、捜査機関の裁量で、自首によって事件化されないケースも存在するのです。
当事務所の弁護士は、以上の理由から、自首を有効な選択肢の一つと考え、日々、自首に関するより良いサポートについて研鑽を積みながら、依頼者様のご意向を尊重し、自首に関する弁護活動を行っています。