どこからが証拠隠滅罪?刑事事件の弁護士が解説

証拠隠滅罪とは?

証拠隠滅罪は、「他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造した者」を処罰するものです(刑法104条)。

 

「他人の刑事事件」とは?

証拠隠滅罪の対象となる証拠は、「他人の刑事事件」に関する証拠です。
自分の刑事事件に関する証拠は含まれません。自分の刑事事件に関する証拠について証拠隠滅するのは無理がないことであり、証拠隠滅しないことに期待するのは無理である(期待可能性がない)という考えに基づくものです。
もっとも、他人の刑事事件に関する証拠が自分の刑事事件の証拠でもある場合、本罪の成立を肯定した判例がありますので、注意が必要です。

 

「証拠」とは?

「証拠」には、物証のみならず人証も含まれます。要するに人の話であっても本罪が成立し得るということです。参考人として取り調べられた被告人が、取調べに当たった警察官らとともに他人の被疑事件について、「虚偽の内容が記載された証拠を新たに作り出した」として、本罪の成立を肯定した判例があります。

 

「隠滅」「偽造」「変造」とは?

「隠滅」とは、証拠の顕出を妨げ、その価値を滅失、減少させる全ての行為をいうとされています。証拠物だけでなく、証人・参考人となるべき者を隠匿し、逃避させることがこれに当たります。場合により証人・参考人の殺害も含まれ得るものです。
「偽造」とは、実在しない証拠を実在するかのように新たに作り出すことをいいます。
「変造」とは、既存の証拠に変更を加えることをいいます。
なお、偽造・変造の証拠を使用することもまた処罰の対象です(刑法104条)。

 

証拠隠滅の具体例

証拠隠滅罪は耳慣れない犯罪であると思われますが、上記のとおり、①裁判の証人や参考人を匿ったり、逃がしたりすることが証拠隠滅に当たり得るため、注意が必要です。
また、②他人の刑事事件について、虚偽の内容の供述調書を作り出したことを処罰した判例もあります。
以上のとおり、典型的な物証の隠滅だけでなく、人証の隠滅もまた証拠隠滅罪で処罰されることがありますので、注意が必要です。

 

弁護の方針

万一、証拠隠滅罪に問われてしまった場合には、早期に、刑事事件に明るい弁護士に相談されることをお勧めします。
証拠隠滅罪は、通常、突発的ではなく、何らかの経緯や利害関係があって発生することが多いといえます。そして、その経緯次第では、裁判にはかけられず、罰金(30万円以下)や不起訴処分(起訴猶予)という検察官の判断もあり得るところです。そのため、証拠隠滅罪の疑いをかけられた場合、証拠隠滅罪・刑事事件について熟知した弁護士に早期に相談することが必要となります。逮捕されてしまった場合も、同様です。

ご相談・ご依頼を受けた場合、弁護士は、依頼者や関係者から詳しい事情をうかがい、関係証拠を収集・保全します。その上で、依頼者の意向を最大限尊重しながら、証拠隠滅罪の成立を争うべきか、争わずに情状だけを主張していくべきかなどを検討し、方針を定めて実行していきます。

 

解決事例

当事務所は、証拠隠滅罪に問われた依頼者からのご依頼を受け、刑事弁護を行った実績を有しております。

依頼者が数枚の偽造写真を公的機関に示したことが証拠偽造に当たるとされた事例では、当事務所の弁護士が警察官との交渉、事情説明等の弁護活動を行い、依頼者は不立件となりました。この事例では、依頼者に偽造の故意がなかったことや、当該写真が必ずしも刑事事件に関する証拠ではないことなどを、当事務所の弁護士が警察署で詳しく説明し、当事者間でも円満解決の合意ができた結果、依頼者は不立件となりました。

このように、警察段階であっても早期に弁護依頼を頂くことによって、当事務所の弁護士は、事案に応じた迅速かつ適切な対応を取ることができます。証拠隠滅を巡るトラブルをお抱えの方は、ぜひ当事務所に早期にご相談ください。

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

刑事事件について高い専門性とノウハウを有した6名の弁護士が在籍する法律事務所です。

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