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公判とは
公判とは裁判所で裁判官、検察官、被告人(弁護人)が出席して公開(例外あり)の法廷で審理(証拠を取り調べて事実を明らかにすること)を行う手続のことです。
また、公判を行う日を公判期日と呼びます。裁判では、何回かの公判期日に分かれて審理が行われ最後に判決が下されます。
被疑者は起訴された時点で被告人となり、被告人に対して逃亡や証拠隠滅の可能性があると判断された場合、被告人を勾留することができます。起訴後の勾留期間は、起訴前の勾留とは異なり、原則は2か月で、必要があれば1か月ごとに更新されます。更新は原則として1回と定められていますが、犯した罪が重大である場合や証拠を隠す可能性があると判断された場合は数回或いはそれ以上続けて認められます。
被告人、親族、弁護人などは保釈を請求できます。裁判所が保釈を許可が出た場合には、保釈金を納めると釈放されることになります。
刑事事件の公判期日の流れ
刑事裁判の中心は公判期日おける手続です。
手続の流れは以下のようになっています。
冒頭手続
まず冒頭手続は人定質問と呼ぶものから始まります。
この質問は、誤って別人に対して審理をしないよう、裁判長が被告人に対して本人確認することで、主に氏名、生年月日、本籍、現住所、職業などを聞きます。
次に起訴状を検察官が朗読します。
起訴状には、被告人が犯した罪の内容が、「公訴事実」として具体的に記載されています。つまり、起訴状朗読は検察官が被告人に犯した罪の内容を具体的に読み上げるのです。
起訴状朗読の直後、裁判所は被告人に黙秘権などの権利について告知をし、罪状認否を行います。罪状認否とは、公訴事実について、起訴状に書いてある罪の内容が事実かそうでないか、実際に犯罪を行ったことを認めるか認めないかを聞くことです。
被告人本人に対する罪状認否の後、裁判官から弁護人に対しても起訴状の事実について確認を求められます。
証拠調べ手続
冒頭手続が終わると証拠調べ手続に移ります。
証拠調べ手続では、まず検察官が冒頭陳述を行います。冒頭陳述とは検察官が証拠によって証明しようとする事実を述べることであり、起訴状記載の公訴事実をより具体的にした事実が述べられることが多いです。
その後、証拠調べ請求を行い、裁判官に用意した証拠の採用を請求します。まず、検察官から先に証拠調べ請求を行い、その後、弁護人の証拠調べ請求となります。
裁判官は検察官や弁護士が提出してきた証拠を確認し自らの判断で事実を認定します。日本では事実の認定は証拠によるという証拠裁判主義と証拠の証明は裁判官の自由な判断に委ねるという自由心証主義が適応されているからです。証拠は大きく人証、書証、物証に分かれています。裁判官はこの3つの証拠を確認して判断します。
弁論手続
証拠調べ手続が終了すると、弁論手続に入ります。
弁論手続では、まず検察官が法律や証拠により認められた犯罪の内容について意見を述べます。
このように検察官が被告人の犯した罪の大きさや動機、結果を述べ、犯罪に対して、懲役の年数などについて意見を述べ処罰を求めます。これを論告・求刑といいます。
この意見の後に弁護士が被告人の罪について被告人に有利な事情等の意見を述べます。これを弁論(最終弁論)といいます。
判決の宣告
裁判は原則として、有罪判決(刑の内容も定められます。)または無罪判決をもって終わります。民事訴訟では、判決の言渡しは判決書の原本に基づいて行われ、当事者が在廷しなくても行われますが、刑事訴訟は、基本的には当事者全員が出廷した公判廷において裁判長が口頭で宣告して行います。
判決では、刑または刑の免除の「主文」と、「理由」が述べられます。
主文では、
●刑(有期刑は刑期を定める)
●執行猶予および保護観察(執行猶予期間を定める)
●罰金・科料につき労役場留置1日の換算額、仮納付
●没収、追徴
●未決拘留日数の本刑算入(実際に勾留した日数のうち刑期に算入する日数を定める)
●訴訟費用の負担
などが言い渡されます。
また、理由としては、罪となるべき事実、証拠の標目及び法令の適用が示され、法律上犯罪の成立を妨げる理由または刑の加重減免の理由となる事実が主張されたとき(例えば、正当防衛の主張)は、これに対する判断も示されます。
罪となるべき事実とは、被告人が犯した行為で、犯罪の内容(構成要件)に当たるような
具体的な事実のことです。