目次
捜査の端緒
捜査の端緒は、事案によって様々ですが、次のようなものがあります。
1 職務質問
警察官において、不審事由がある者(異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの
犯罪に関与しているのではないかなどと疑うに足りる相当な理由のある者)に質問を行い、
犯罪の予防と早期摘発をはかるもので、任意捜査に当たります。
2 所持品検査
通常、職務質問に付随して、質問をした対象者の所持品を検査するもので、
職務質問と同じく任意捜査にあたりますので、無理矢理検査することは許されません。
3 自動車検問
警察官が進行中の自動車を停止させて、当該運転手などに質問をし、
犯罪の予防・検挙をはかることをいいます。
4 現行犯逮捕
罪を行っている者および現に罪を犯した者を逮捕することです。
一般人が行う現行犯逮捕も認められています。
5 検視
死体が発見された際、捜査機関がその死亡が犯罪によるか否か判断するため、
五官の作用によってその死体の状況を見分することです。
検視には、法医学的知識も必要であり、刑事調査官あるいは検視官と呼ばれる特殊な訓練を受けた
司法警察員が、医師の立会いをもとめて、検視をしているのが実情です。
6 自首
犯罪が全く捜査機関に発覚していない場合や犯罪が発覚しているが、
その犯人が誰であるか全く発覚していない場合に、捜査機関に発覚する前に出頭をすることで、
その刑を減軽することができるとされています。
7 告訴
被害者その他一定の者が、捜査機関に犯罪事実があったことを申告し、処罰(訴追)を求める意志思表示をいいます。
基本的には書面で提出して行います。
8 告発
告訴権者および犯人以外の者が、捜査機関に犯罪事実を申告し、その訴追を求める意志思表示です。
民主党幹事長小沢一郎氏は、ある市民団体から政治資金規正法違反により東京地方検察庁特捜部に
告発され、不起訴処分になったと報道されていますが、告発が大きな政治問題にもかかわる場合が
あることが知られるようになりました。
9 被害届
犯罪にあった被害者が、捜査機関に犯罪の被害にあったことを届け出ることです。
処罰を求めることまでは、要求されません。
口頭による届出もできますが、その場合は警察官等が内容を確認して書面にしています。
被害届を受理してもらい、その後、捜査が進展した場合は被害状況について詳しく聞かれ、
供述調書に署名と押印を求められことがありますが、捜査官の努力に応え是非協力して下さい。
10 通報
警察は、通報を被害届と並んで捜査の端緒としています。被害届は被害にあった人からの届出ですが、
通報は被害者以外でも犯罪の疑いがあるようなものであれば、電話による匿名の通報でも受け付けています。
書面による必要はなく口頭でも受け付けてくれます。
しかし、匿名の通報では、誰からの通報か確認できませんし、捜査を開始するかどうかも警察の判断に
よることになり、捜査の進行状況や結果も教えてもらえないことになります。
11 聞き込み
犯罪が発生しなくとも、周辺の方々の家を訪問し、世間話をしながら犯罪の存在を聞き出し捜査の
端緒としている場合や、犯罪が発生した段階で、犯人を特定するため、周辺の方々から当時の状況、
特に目撃の有無や目撃状況等を尋ね、その過程で犯人を絞り込んでいく場合も捜査の端緒といえるでしょう。
しかし,現実には、捜査の要と言われている「聞き込み」を端緒とする刑法犯摘発件数が、
平成5年(1993年)の1万464件から平成19年(07年)には4820件と半減しています。
全国の捜査員に実施したアンケートでは、約8割が一般からの捜査協力を得ることは
「困難」と感じているようです。
協力を拒む理由として「後々警察に話をするのが面倒」「情報提供に慎重な会社、事業者等が多い」
「多忙」などが挙がっています。
実際「聞き込みでの情報提供拒否」は3割にも上るようですが、これで自分たちの都市、
町や村が守れるでしょうか。
このような住民の非協力が最近の警察の検挙率の低下を招いていないでしょうか。
住民自らが協力し、団結して犯罪から自分たちを守ることも必要ですが、
警察の力にお願いしなければならないことも多々あります。
日頃非協力でありながら、犯罪被害にあって警察の協力を期待することは、身勝手と言えないでしょうか。
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