薬物の共同所持

自宅から配偶者の薬物が発見された,同乗している友人の車から薬物が発見されたなど,違法薬物を直接所持していなかったとしても,共同所持として逮捕されるケースがあります。

容疑を認める場合でも否認する場合でも、早期に弁護士に依頼し適切な対応を取ることが重要です。

 

共同正犯とは

薬物所持の共同正犯が成立する場合,共同所持として罪に問われます。

共同正犯とは,2人以上が共同して犯罪を実行したことを指します。共同実行の意思と共同実行の事実がある場合に,他人が実行した犯罪行為についても正犯(自ら犯罪を行った者)として刑事処分を受けることになります。

 

共同所持の要件

共同所持は,複数人の間でそれぞれに,以下の点が当てはまる場合に認められると考えられています。

・薬物を管理・支配していること

・薬物の存在を認識していること(故意があること)

薬物がその場所にあることを認識していて,自らの意思で使用したり捨てたりできる状態(支配関係)にあると認められる場合には,共同所持として大麻取締法違反や覚せい剤取締法違反となります。

 

共同所持における間接所持

薬物を直接所持していなくても、薬物の所持者から薬物を渡された、預かってもらうよう頼まれた、誰かに届けるよう頼まれたなど、間接的に薬物を所持してしまうことがあります。共同所持の事案ではこのような場合でも間接的所持が認定され逮捕されるケースが多々あります。

薬物の管理処分権者が、他人に薬物の管理・処分を託している場合では、上記の要点をふまえ,その他人が薬物の認識を持っており,管理支配が認められる場合には共同所持となります。たとえ預かっている時間が数分であっても、その間に薬物の処分や管理,支配が認められる場合は共同所持となる可能性が高くなります。それによって判断が付かない場合には,当事者間の関係性を考慮していくことになります。

例えば,薬物を所持していることは認識していても,どこに保管しているか知らされていなかったり,鍵をかけて保管されていて取り出すことのできないなどの場合には共同所持に当たらないことになります。ただ,具体的な場所を知らなかったとしても,要求すれば出してもらえるといった関係性にある場合は,間接的な所持が認められます

薬物共同所持の解決事例

〇交際相手が同居する自宅に薬物を保管していたケース

自宅から薬物が発見され,その家に同居していた本人も共同所持として,逮捕されてしまいました。

→本人が薬物を使用していなかったこと、暴力を伴う交際関係があったことから、薬物を保管していたことについて黙認せざるを得なかったと主張。不起訴処分を獲得しました。

薬物に関する刑罰

薬物犯罪として定められている刑罰から,覚せい剤取締法,大麻取締法,麻薬及び向精神薬取締法について紹介します。

 

◆ 覚せい剤取締法

覚せい剤取締法では,覚せい剤の輸入・輸出・製造,所持,使用・譲渡・譲受といった行為に対し刑罰が定められています。

所持・使用・譲渡・譲受の刑罰は,10年以下の懲役,営利目的の場合1年以上の有期懲役,又は情状により500万円以下の罰金を併科と定められています。

 

◆大麻取締法

大麻取締法では,大麻の輸出・輸入・栽培,所持,譲渡し・譲受けといった行為に対し刑罰が定められています。

所持・譲渡・譲受の刑罰は,5年以下の懲役,営利目的の場合7年以下の懲役,又は情状により200万円以下の罰金と定められています。

 

覚せい剤取締法と異なり,大麻の「使用」に対する刑罰は定められていません。使用には所持が伴うために,使用には罰則が定められていないとする説もありますが,2022年現在,若者を中心とする大麻の乱用が深刻化している背景から,大麻の「使用罪」を創設し,罰則を定める法改正が議論されています。

 

◆麻薬及び向精神薬取締法

麻薬及び向精神薬取締法では,麻薬及び向精神薬の輸入・輸出,使用・所持,譲渡し・譲受けといった行為に対し刑罰が定められています。

対象となる麻薬や向精神薬については,法律の別表に示されています。ヘロイン,モルヒネ,コカイン,MDMAなどは麻薬に分類されます。

ヘロインの所持・譲渡・譲渡の刑罰は,10年以下の懲役,1年以上の有期懲役,又は情状により500万円以下の罰金を併科と定められています。

モルヒネ・コカイン・MDMA等の所持・譲渡・譲受は,7年以下の懲役,営利目的の場合は1年以上10年以下の懲役,又は情状により300万円以下の罰金を併科となります。

向精神薬の所持・譲渡・譲渡は3年以下の懲役,営利目的の場合は5年以下の懲役,又は情状により100万円以下の罰金を併科となります。

 

弁護士のできること

◆早期釈放へ向けた働きかけ

薬物犯罪で逮捕された場合,勾留・起訴の可能性が高くなります。

逮捕から2.3日は弁護士を通じてでなければ外部と連絡を取ることはできませんし,勾留が決定すると最大で23日間の身体拘束となります。起訴されるとほぼ確実に前科が付いてしまうことになります。

弁護士は,前科や身体拘束によって生じる社会的不利益を回避するために,早期釈放や不起訴処分,起訴された場合には執行猶予判決を目指し弁護活動をしていきます。

勾留決定や起訴,不起訴の判断は検察官によって下されます。弁護士は,段階に応じて検察官へ意見書などの書面を提出や,面談をすることによって不起訴(場合によっては略式起訴)とすべき事情があることを主張します。

 

◆取調べ対応

罪を認める場合でも否認する場合でも,取調べで捜査官に誘導されるなどして不利な調書を作成されることの無いように,弁護士に取調べへの助言を求めることが大切です。

共同所持では,薬物の存在の認識と処分管理性が争点となります。一度作成された調書の内容を覆すことは難しいため,早期に弁護士と事実関係についてしっかりと協議し,取調べに臨む必要があります。

 

◆環境づくりのサポート

罪を認める場合は,家族や医療機関と連携し再犯を防止するための環境づくりを行い,示すことが大切です。

薬物事件は再犯の危険性が高い事件です。過去に薬物事件で逮捕や執行猶予判決を受けた人が,再度薬物に関する犯罪に手を染めてしまった場合には,実刑判決を受ける可能性が高くなります。当事務所は「再犯させない弁護」をモットーとしています。弁護士はご本人とご家族に寄り添い,専門の医療機関等を紹介する,更生計画を一緒に立案するなど再犯を防ぐための根本的な治療についてもサポートを行います。

 

まとめ

薬物事件では,初犯でも起訴されてしまう可能性が高い犯罪です。また,共同所持として薬物の所持や使用,購入について知らなかったり,積極的に関わっていなかったとしても逮捕されてしまうケースもあります。

専門的知識と経験を持つ当事務所の弁護士は,被疑者とご家族それぞれに寄り添い,早期の問題の解決に尽力します。なるべく早い段階で弁護士に相談していただくことで,早期釈放や不起訴処分への選択肢も広がります。

ご家族が逮捕され困っている方の相談をお待ちしております。

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

刑事事件について高い専門性とノウハウを有した6名の弁護士が在籍する法律事務所です。

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