大麻事犯は最初が肝心!

大麻の流行

cannabis-1254745_1280近年,特に若者を中心に大麻による検挙者が急増しています。
大麻による検挙者数は,平成25年(2013年)には1555人であったのが,令和元年(2019年)には4321人に達しており,摘発人数を人口10万人当たりで見ると,20歳未満が8.7人,20歳代が15.5人,30代が7.3人,40代が2.7人,50歳以上0.4人であり,検挙者の殆どが若者であることが分かります。
 
インターネットなどでは「大麻は他の薬物より安全,害がない」,「大麻は依存にならない,いつでもやめられる」,「海外では大麻が合法化されているから安全」という情報が出回っていますが,すべて誤りです。しかし,そのような誤った情報が出回っていることにより,大麻使用への抵抗感が低下していることは,まぎれもない事実です。
大麻使用のきっかけは「誘われて」,「興味本位で」という理由が圧倒的に多いです。平成30年調査によると,初めて大麻を使用したきっかけは,「誘われて」と回答したのは,20歳未満では86.1%,20歳代では77.9%となっています。
 
初めて使用した年齢が若ければ若いほど,誘われて使用する比率が高いことがわかります。判断能力が成熟していない若者が「ノリ」や「うわべのカッコよさ」で使ってしまう状況になっています。
 

大麻とは?

大麻はアサ科の一年草です。大麻にはテトラヒドロカンナビノール(THC)という,脳に作用する成分が含まれており,乾燥させた葉などをあぶってその煙を吸うと酩酊感,陶酔感,幻覚作用などがもたらされるとされています。
 

なぜ,大麻を使用してはいけないか?

ウルグアイやカナダは娯楽のための大麻所持につき合法とされています。
また,一定の条件の下で,大麻所持を合法化している国家や州も少なくありません。
しかし,日本は大麻取締法によって,大麻の所持・譲渡・譲受・栽培が原則禁止となっています。それは,以下の理由によるものとされています。
 

① ゲートウェイ・ドラックとなる

使用に抵抗感が弱い大麻はゲートウェイ(入り口)・ドラッグといわれ,コカイン,へロイン,覚せい剤など他の更に強い副作用や依存性のある薬物の使用のきっかけとなるおそれが高いです。
 

② 脳などの中枢神経系に影響を及ぼし依存症となるおそれがある

大麻に含まれるTHCという成分が脳の中枢神経系に作用するため,手足のまひ,思考の分裂,妄想や幻覚が起きるなどの心身の変化があります。
 

③ 精神疾患の発症や知能の障害につながるリスクが高い

特に,若年期の大麻の使用は,正常な成長に悪影響を及ぼし,統合失調症発症リスクを高めるとともに記憶力が低下するなど知能にも影響を与えると言われています。
 

④ 呼吸器疾患を起こしやすくなるほか胎児への悪影響がある

大麻の煙は発がん物質を多く含むため,肺がんの発症リスクが高まります。また,母親が妊娠中に大麻を使用した場合,胎児の低体重等のリスクが高まると言われています。
 

⑤ 人間関係や社会生活にも悪影響を及ぼす

薬物依存症になると生活の中心が薬物となるため,対人関係,仕事・学業,健康など様々な面で悪影響が生じます。
 

大麻に関する罰則は?

大麻取締法によって,大麻の所持・譲渡等は以下のとおり禁じられています。
 

・ 所持・譲渡・譲受

…5年以下の懲役(営利目的の場合:7年以下の懲役+200万円以下の罰金)
 

・ 栽培・輸入・輸出

…7年以下の懲役(営利目的の場合:10年以下の懲役+300万円以下の罰金)
 
「使用」を罰していないのは,そもそも大麻取締法が規制対象としている大麻とは,大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいいますが,大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品は規制対象から除かれます(法1条)。成熟した茎等が規制対象になっていないのは,有害なTHCという成分が殆ど含まれていないからですが,そのような部分でも微量の有害成分を含むため,仮に尿から大麻成分が出たとしても規制対象としている部分を摂取したかどうか分からないので使用では罰することができないのです。
 
もっとも,大麻使用者は,大麻を所持していることが通常ですので,大麻所持で罰せられることとなります。
 

最初が肝心。弁護士がお力添えできる場面は?

既に述べたとおり,現在,大麻は誘われて若年層を中心に「ノリ」で使用されている状況ですが,大麻がゲートウェイ・ドラックと言われているように,その先には大きな破滅が待っています。仮に,親族や周囲の人間が大麻所持等で逮捕されたといった事情があった場合には,最初が肝心です。薬物事犯の再犯率は60パーセント以上とも言われています。
 
当事務所では,大麻を含め薬物から離れられるよう,ご本人と向き合い,如何に薬物を使用することが自らの人生を無駄遣いしているか理解していただき,また必要に応じて医療機関など関係機関と連携を採るなど,可能な限り再犯を防止いたします。
 

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

刑事事件について高い専門性とノウハウを有した6名の弁護士が在籍する法律事務所です。

毎年500件以上のご相談が寄せられており、高い実績にもとづいた最良のサービスを提供いたします。

豊富な実績を元に刑事事件に関するコラムを掲載しております。

お気軽にお問合せ、ご相談ください。03-5299-5881 お気軽にお問合せ、ご相談ください。03-5299-5881 メールでのご相談はこちら