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海外の弁護士と日本の弁護士
日本の弁護士とアメリカの弁護士の比較
日本と海外では、同じ弁護士という職業でも仕事に対するスタンスが大きく違っています。特に訴訟大国とも呼ばれるアメリカでは、弁護士の立ち位置は日本とかなり異なっていると考えてよいでしょう。
たとえば、日本なら資格さえ持っていれば、日本全国どこでも弁護士として活動できます。一方、アメリカでは50ある州で法律が違っているので、基本的に資格を取得した州でしか弁護士として活動できません。テキサス州で資格を取得した弁護士なら、テキサス州でしか弁護を行なえないのです。
また、専門性に特化している点もアメリカの弁護士の特徴となります。日本にも刑事事件に強い弁護士や相続の問題に強い弁護士などはいますが、どんな弁護士であれ、得意分野でない問題についても相談に乗ってくれることが一般的です。
一方、アメリカの弁護士は刑事事件なら刑事弁護士、離婚なら離婚弁護士といった具合に専門分野が細かく別れており、得意分野でない問題についてはあまり詳しくない弁護士が多いのが現状。オールマイティーに活躍できる日本の弁護士に対し、アメリカの弁護士は地域や専門分野を限定して活動しているのです。
アメリカの弁護士は報酬体系も大きく違う
日本の弁護士に仕事を依頼する場合、まず一定の着手金を支払い、裁判などの結果に応じて成功報酬を追加して支払うことが一般的です。たとえば、刑事事件の告訴について相談した場合ならば、最初に40万円程度の着手金を支払い、告訴が受理されたら成功報酬として更に40万円を支払うといった具合になります。
一方、アメリカの弁護士は報酬を時給で計算することが一般的です。支払う時給は、ある弁護士は1時間180ドル、ある弁護士は300ドルといった具合に弁護士ごとに違っています。経験が高く事件の処理が素早い弁護士ほど、時給が高いと考えてよいでしょう。
日本の弁護士の場合は、一度着手金を支払えば何度相談の電話をかけても、その都度追加料金を取られることはありません。一方、アメリカの弁護士は電話で相談する時間に対しても、時給換算で報酬の支払を求めてきます。このため、アメリカではより綿密に計画を立てた上で、弁護士を雇わなければならないのです。
中国やヨーロッパ諸国の弁護士事情
ここまではアメリカと日本の弁護士の違いをご紹介しましたが、中国やヨーロッパ諸国の弁護士と日本の弁護士とではどのように違うのでしょうか。中国の弁護士は、日本と比べて事務所の規模がが大きいことが一般的です。
日本では弁護士が単独で事務所を開く事ができますが、中国で弁護士事務所を開くには最低3人以上の弁護士が必要とされます。
次に、ヨーロッパ諸国の弁護士事情について見てみましょう。イギリスでは訴訟を主な仕事とするバリスタと、事務的な法手続きを専門とするソリシタに弁護士の業務が二分されているのが特徴です。法律に関するどんな相談にも乗ってくれる日本の弁護士とは、ずいぶんイメージが異なりますね。
このほか、ドイツに目を向けると、弁護士はあくまで公共の仕事であり、法的にも営業に分類されていないようです。法律相談に関する広告を積極的に打ち出している日本の弁護士とは、スタンスが違っているようですね。
このように、国によって弁護士の活動実態は大きく違っています。海外に行かれる際は、こうした弁護士に関する知識を備えておいて損はないでしょう。