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組織犯罪処罰法とは
「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」では、以下の点に関して法律が定められています。(1条)
・組織的な犯罪に刑法の規定より重い刑を科すこと(下記の「加重犯」の箇所の別表参照)
・犯罪組織の犯罪収益の隠匿・収受を規制すること
・組織的犯罪によって得られた収益を没収・追徴すること
組織で行われた犯罪に関わった場合では、個人が犯罪をした場合よりも重い罪に問われることになります。
組織犯罪処罰法の刑の加重
前述のように組織犯罪処罰法3条では、団体の活動として、その罪にあたる行為を実行するための組織により行われたときには、通常の刑より重くすることを定めています。
以下のように加重されることになります。
罪名 |
単独犯の場合 |
組織犯罪処罰法の場合 |
常習賭博罪 |
3年以下の懲役 |
5年以下の懲役 |
殺人罪 |
死刑または無期 |
死刑または無期 もしくは6年以上の懲役 |
逮捕及び監禁罪 |
3か月以上7年以下の懲役 |
3か月以上10年以下の懲役 |
強要罪 |
3年以下の懲役 |
5年以下の懲役 |
身代金目的略取等罪 |
無期または3年以上の懲役 |
無期または5年以上の懲役 |
威力業務妨害罪 |
3年以下の懲役 または50万円以下の罰金 |
5年以下の懲役 または50万円以下の罰金 |
詐欺罪・恐喝罪 |
10年以下の懲役 |
1年以上の20年以下の懲役 |
建造物損壊罪 |
5年以下の懲役 |
7年以下の懲役 |
組織犯罪処罰法の「団体」とは
組織犯罪処罰法の対象となる団体がどのようなものであるかは組織犯罪処罰法の2条に以下のように定められています。
「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であり、その目的または意思を実現する行為の全部または一部が、組織により反復して行われるもの」
具体的には暴力団、麻薬密売組織、振り込め詐欺グループ、テロ組織などが挙げられます。
テロ等準備罪(第6条の2)
2017年にテロ等準備罪が新設され、テロリズム集団による犯罪行為等も組織犯罪処罰法の対象となりました。
現在、世界のさまざまな国々でテロ事件が発生しており、今後日本が標的にされる可能性も考えられます。テロ等準備罪が新設されたことで、組織的犯罪集団による犯罪行為を未然に防止できるようになりました。これまで日本は、国連加盟国(全193ヶ国)の中で、組織的な犯罪集団による犯罪行為を取り締まる国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結していない数少ない国の1つでした。TOC条約を締結するためには、組織犯罪に関する国内法が成立している必要があり、これまで日本は『未成立状態』とみなされ締結対象外となっていました。しかし、テロ等準備罪が新設されたことにより、ようやく日本もTOC条約国の仲間入りを果たしました(2017年8月より発効開始)。
ところで、テロ等準備罪は、かつて『共謀罪』として国会で審議され、廃案となった法案に骨格が類似しており、これを「仕立て直したもの」という評価もあります。テロ等準備罪と共謀罪を比較すると、共謀罪では犯罪を計画しただけでも有罪となるのに対し、テロ等準備罪では計画したのち実行準備行為が行われてはじめて有罪となるという違いが挙げられます。
組織犯罪処罰法の弁護活動
たとえ組織の末端であったとしても、単独犯の場合より刑が重くなってしまい、実刑となる可能性が高くなるため、捜査段階から弁護人を選任し、弁護士接見による秘密交通権を活用し、捜査対応を慎重に進めることが大切です。
また、事件の性質上、共犯者の同時逮捕が行われるため、共犯者の供述状況を探知することも課題となり、刑事事件に特化した弁護士の選任が求められるところです。当事務所は、刑事事件に特化し、事件に精通した弁護士が複数名揃っており、適切に対応可能です。
解決事例
当事務所は、組織犯罪処罰法違反の罪の事件や他の罪とセットで本罪に問われた事件について、加害者側のご依頼を受け、刑事弁護を行った実績を多数有しております。
例えば、マネーロンダリング関連事犯では、刑事弁護を行い、実質上の被害者に対する被害弁償、示談等を行い、加害者は執行猶予付き判決となりました。この事例では、被害者が多数いましたが、当事務所の弁護士が被害者との間で粘り強く示談交渉を行った結果、事前の厳しい見立てにかかわらず、上記の執行猶予付き判決を獲得することができました。
早期に弁護依頼を頂くことによって、当事務所の弁護士は、事案に応じた迅速かつ適切な対応を取ることができます。本罪関連の事件につきましては、ぜひ当事務所に早期にご相談ください。