5.覚せい剤等の害毒

5.覚せい剤等の害毒

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覚せい剤等の弊害や副作用等については、すでにマスコミ等でも報道されております。
当然のことですが「百害あって一利なし」ということです。
覚せい剤を一旦使用し始めますと、そのことで逮捕勾留され、判決で厳しい注意を受けたにもかかわらず、
自由な身になると再び覚せい剤を使用したくなり、覚せい剤依存症はかなり長く続きます。
そして、長期間の使用により禁断症状やフラッシュバックが出て精神病院などに収容されても
暴れたりすることもあります。
それだけではなくて、覚せい剤の使用により幻聴や幻覚が生じてきます。
ある女性被疑者から、自分はしっかり掃除をしていると思っていても、あとで気付いてみると
同じところを何度も掃除をしている奇妙な光景だったことが分かったと聞いたこともあります。
また、自分が殺されるかもしれないという幻覚にとらわれ、自分の乗っていたバスの運転手を殺し屋の回し者だと
思い込んで、刃物で切りかかって事件を起こした人もいました。
このように、幻聴幻覚は時には人に対して危害を加える別の犯罪を引き起こす原因にもなるのです。
だんだん覚せい剤の使用が激しくなるとこのような禁断症状や幻聴幻覚だけではなくて、
身体の骨などがボロボロになってしまうようで、検察官当時、覚せい剤事件の若い被疑者の何人かが前歯を
失っているので、覚せい剤を使用したことが原因ではないかと尋ねたところ、ほとんどの被疑者から、
多分それが原因だと思うと教えて貰いました。
研究者ではないので確かなことは言えませんが、覚せい剤は、歯や骨にも大きな悪影響を与え、
また、肝臓等その他の器官にも重大な影響を与えていることは間違いないと思ってます。
私が何よりも驚いたのは、覚せい剤使用によって人間としての受け答えがほとんどできなくなった人を
調べたときでした。
その人はすでに大量の覚せい剤を密売し、また自分でも頻繁に使用するなどして刑務所で服役中でしたが、
精神的にもかなり大きな障害を受けたことにより、是非善悪の判断ができなくなってしまい、普通の刑務所で
服役させることができず医療刑務所に収容されていました。
その医療刑務所で、彼に覚せい剤の密売状況などを尋ねたりしましたが、目はうつろで返す言葉も言葉に
なっておらず、人間としての心がすでに失われ廃人そのものになってしまったのを知ることができました。
 
このようなことはあまり報道されておりませんが、現実に直面したときは、
多数の覚せい剤事件を捜査した検察官でありながら、かなりのショックを受けてしまいました。
したがって、このような廃人にならないためにも絶対に覚せい剤を使用しないでもらいたいと思います。
今後もこれまでの経験を生かし、覚せい剤や大麻などの恐ろしさを多くの方々に、
特に中学生や高校生に伝えていく、使命と責任があると思っております。
特に、この種、覚せい剤事件や大麻事件を受任した場合には、ご本人に対し、
覚せい剤や大麻の心身に対する悪影響を訴えることに加えて、人間としてどのように生きるべきか、
どのような人生観を持つべきか、自己をどのように律するべきか話し合い、
絶対に二度と犯罪を起こさせないよう全身全霊を込めて語り合うことにしています。
 
 
 

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執筆者

ヴィクトワール法律事務所

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