警察からの呼び出しがあった場合の対応について弁護士が解説!

警察からの呼び出し

警察が刑事事件の被疑者や参考人に対し、呼び出しをかけることがあります。
警察からの呼び出しがあった場合、どのような対応を取ればいいか、そのまま逮捕されてしまうのではないかなど、非常に不安に思われる方も多いでしょう。
弁護士の視点から警察からの呼び出しへの心構えや対応方法をお伝えします。

 

被疑者の呼び出し

ある人が捜査機関から罪を犯したのではないかという疑いをかけられている場合、被疑者として呼び出しを受けることになります。
呼び出しなく逮捕される場合は別として、呼び出しがあるのは事件が任意捜査の段階にある場合です。この場合、被疑者は、電話又は手紙で、日程を打診され、警察署等への任意の出頭を求められます。

呼び出しを拒否した場合は?

これはあくまでも任意のものですので、ある程度拒否したり、日程の調整をしたりすることもできます。
しかし、拒否したために証拠隠滅や逃亡の可能性があるとして逮捕されてしまう可能性もあります。また、理由なく数か月も先の日程を提案したりする場合も同様で、逮捕その他の強制捜査へ切り替えられてしまうおそれがあります。さらに、任意の出頭後、取調べを経て、逮捕その他の強制捜査へ切り替えられてしまう場合もないわけではありません。

供述調書の署名押印

取調べでは、警察は被疑者に事件に関する供述を求め、被疑者の話した内容を調書にまとめます。この調書は、捜査において重要性の高い証拠となります。
供述調書を作成するのは被疑者ではなく警察や検察であるため、供述調書の内容に本人の認識とは異なる内容が記載されてしまうこともあります。また、厳しい取調べや精神的ストレスから、やっていないことについても罪を認めてしまい、自白調書がつくられてしまう可能性もあります。
一度作成された調書(最後に署名・押印をした場合)の内容を覆すことは簡単ではないため、早期に弁護士と事実関係についてしっかりと協議し、取調べに臨む必要があります。署名押印をする前に内容をしっかりと確認し、内容に相違がないか確認することが大切です。

 

参考人の呼び出し

ある人が捜査機関から事件の捜査協力を求められているにとどまる場合は、参考人として呼び出しを受けることになります。参考人は被疑者ではありませんので、参考人への呼び出しについては都合の良い日時を調整してもらえることが多いです。

自分が参考人か被疑者かわからない場合は?

なお、自分が参考人か被疑者かは、取調べの最初に黙秘権を告知されるかで判断することができます。黙秘権とは、自己の供述したくない事柄について沈黙する権利および沈黙していることを理由に不利益を受けない権利です。
これは、憲法38条1項及び刑訴法311条1項に規定されています。したがって、被疑者を取り調べるには、黙秘権を告知することが通常となっています。
もっとも、捜査機関が単に黙秘権の告知を忘れることもありますので、黙秘権を告知されなければ、「私は被疑者ですか、参考人ですか」と聞いても良いかも知れません。
【参考】
・憲法38条1項
 「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」
・刑訴法311条1項
 「被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。」

 

呼び出しを受けた際の心構え

警察は、理由なく人を呼び出すことはありません。警察が人を呼び出すのは事件捜査の必要性があるからです。
そのため、自分が被疑者であると認識している場合は、必ず真摯に対応することをお勧めします。既に述べたように、被疑者は、取調べでは黙秘権がありますが、黙秘権があることと呼び出しに対応しないこととは全く別問題です。呼び出しを理由なく拒否したり、呼び出しに真摯に対応しなかったりすれば、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして、捜査方針が逮捕その他の強制捜査に切り替わってしまうおそれがあります。

 

被疑者として呼び出された場合の捜査の流れ

例外はありますが、捜査機関からの呼び出しがある場合、警察はその事件を在宅事件(逮捕しない事件)として処理する方針であることが多いです。要するに、呼び出しに真摯に対応する限り逮捕はしないということであり、そのような方針は被疑者にとってプラスであることが多いといえます。
在宅事件では身体拘束をされずに捜査が進められます。在宅事件の場合、学校や会社といった日常生活を送りながら、刑事手続が進行しますので、比較的、社会的立場に対する影響は少なくて済みます。
また、逮捕された際に実名報道をされることが多いので、実名報道をされるリスクも少なくなります。

 

呼び出しを受けた方へ弁護士ができること

当事務所の弁護士は、被疑者や参考人として警察から呼び出しを受けた方の依頼を受け、取調べへの同行、付き添い、取調べ対応に関するアドバイスなどの弁護活動を幅広く行っています。
現状の日本では、取調べに弁護士が立ち会うことは認められていませんが、弁護士が取調べ室の外の椅子で待機し、取調べの途中で取調室を出て、弁護士のアドバイスをもらうことは許されています。既に述べたとおり、一度、調書が作成されてしまうと、後から違う内容を主張することは、大変骨の折れる作業なので、最初に調書を作成する段階で、何を述べ、何を述べないかを法律の専門家と相談しながら決めることが肝要となります。
被疑者や参考人として警察から呼び出しを受けてしまった方、そのおそれがある方は、ぜひ早期に当事務所にご相談いただけますと幸いです。

 

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

刑事事件について高い専門性とノウハウを有した6名の弁護士が在籍する法律事務所です。

毎年500件以上のご相談が寄せられており、高い実績にもとづいた最良のサービスを提供いたします。

豊富な実績を元に刑事事件に関するコラムを掲載しております。

お気軽にお問合せ、ご相談ください。03-5299-5881 お気軽にお問合せ、ご相談ください。03-5299-5881 メールでのご相談はこちら