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拘留とは
拘留は、刑法9条に規定されている刑罰の1つです。刑罰には、死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料・没収の全7種類があります。(このうち、死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料は主刑と呼ばれ、単体で言い渡すことができますが、没収は付加刑と呼ばれ、主刑が言い渡される場合に限って言い渡すことができるという違いがあります。)
拘留は、身体を拘束する自由刑という種類に含まれるため、懲役刑や禁固刑と同じような性質を持っていますが、期間が大きく異なっているのが特徴です。懲役刑や禁固刑に処される場合は、数年以上の期間にわたって拘束されるのが一般的ですが、拘留の場合は1日以上30日未満とされています。拘留は、自由刑の1つではありますが、拘束される期間が短いため、罰金刑よりも軽い刑罰という扱いとなっています。ただし、拘留という刑罰が実際に適用されることは滅多にありません。
「拘留」と「勾留」は読み方は同じだが別のもの
拘留というのは刑罰の一種ですが、勾留は刑罰ではありません。
勾留は、逮捕された被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれなどが認められる場合に、逮捕後も身体拘束を継続することを指します。
拘留という用語と勾留という用語は、どちらも同じ読み方をするものですが、意味は全く異なっています。刑事事件において、勾留されただけの場合は前科がつかないのに対して、拘留という刑罰を受けた場合は前科がつくという大きな違いがあります。
一般的に、弁護士が「コウリュウ」という言葉を用いる場合には、勾留を指していることが多いです。手続きや法律用語について、分からないことが出てきた場合は、お気軽に弁護士までお尋ねください。
拘留に処されるのはどんな場合?
法定刑に拘留が定められている犯罪は複数ありますが、例えば、以下のようなものがあります。
・刑法第174条 公然わいせつ罪
⇒6か月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は「拘留」若しくは科料
・刑法208条 暴行罪
⇒2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は「拘留」若しくは科料
・刑法231条 侮辱罪
⇒1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は「拘留」若しくは科料
※令和4年7月7日から改正刑法が施行され、侮辱罪の法定刑に、「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金」が追加されました。
・軽犯罪法第1条各号違反
⇒「拘留」又は科料
※軽犯罪法第1条は、第1号から第34号まであり、それぞれにつき、様々な犯罪行為が規定されています。
令和4年度犯罪白書によると、令和3年に裁判が確定した213,315人のうち、拘留を言い渡されたのは、たったの5人にとどまります。
同じ年度に罰金を言い渡されたのが165,276人であることと比較すると、拘留が言い渡される機会が如何に少ないかが分かります。
刑事事件を自分で解決するのは難しい
民事の争いであれば、自分の力で解決を図ることも可能な場合があります。しかし、刑事事件となると状況が大きく異なります。刑事事件を解決するためには、しっかりと弁護士に相談して、適切なサポートを受けるようにしなければなりません。
逮捕された後、被逮捕者には罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれなどがあると判断された場合、勾留されてしまいます。勾留は、最大20日間までとされていますが、早い段階で弁護士に相談すれば、早期の身柄解放や不起訴処分を獲得する可能性が高まります。
言い渡されることが少ない「拘留」ですが、もしも言い渡され、その内容が確定してしまった場合には、前科が付いてしまいます。
前科が付くと、仕事や海外渡航に悪影響を及ぼすおそれがあります。
そうなる前に、まずは一度、弁護士にご相談ください。