刑務所とは?拘置所・留置場との違いを弁護士が解説

我が国では、法律上、刑務所、少年刑務所及び拘置所をあわせて、「刑事施設」と呼んでいます。このうち、刑務所及び少年刑務所は、主として受刑者を収容して処遇を行う施設であり、拘置所は、主として刑事裁判が確定していない未決拘禁者を収容する施設です。
従前、法律上、「監獄」と呼ばれていた時期もありましたが、平成17年に施行された「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」によって、「刑事施設」と呼ばれることとなりました。我が国の刑事施設数は、概ね200弱となっています。これらの刑事施設は、法務省が所管しています。

刑務所

何らかの罪を犯した者が裁判で有罪を宣告され、その罪に対して服するために受刑者を拘束し監禁する場所です。刑務所は成人以上の受刑者が入ります。
全国に約60箇所あり、性別によって分けて収容することとなっています。
また、各刑務所には収容する者の指標があり、犯罪傾向の進んでいない者(A指標)を主に収容する刑務所、犯罪傾向が進んでいる者(B指標)、刑期が10年以上の者を収容する刑務所(L指標)など、刑務所によって受け入れる受刑者が概ね決まっています。

なお、本人がどこの刑務所に収容されたかについては、たとえ親族が以前収容されていた拘置所に問い合わせに対して教えることはしていません。この場合、本人の手紙等を待つこととなります。もっとも、弁護士法等の法令の根拠に基づいた照会の場合は、正当理由が認められれば開示する扱いとなっています。

 

・少年刑務所

少年刑務所は原則成人以下の受刑者が入りますが、26歳まで収容されている例があります。刑務所は収容者を更生させることを1つの目的としているので、そのために必要だと思われる親族などの面会や手紙のやり取りは可能とされています。例えば、親族以外では婚約者や出所後就職が予定されている仕事先の雇用主など、そのほか刑務所長がその必要性を判断して許してくれる場合などです。(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律111条)

 

拘置所

被疑者や被告人といった未決囚(判決が確定していない被収容者)を拘禁する法務省矯正局が所管する管理施設です。
なお、死刑囚は刑務所ではなく拘置所に収容されます。死刑囚が拘置所に収容されるのは矯正の必要がないので矯正の役割も担っている刑務所に収容するのがなじまないとされているからです。

 

留置場

留置場は警察が被疑者の身柄を拘束するための施設を指します。警察署の建物に留置場があり、被疑者はその留置場で身体拘束を受けながら取調べに応じます。
共犯事件で同じ留置場に収容できない場合や、留置場の改築・定員などの関係で、捜査担当の警察署と別の警察署で留置される可能性もあります。
被収容者に面会したいときは、事前に警察に問い合わせて、どこに収容されているか確認されると良いでしょう。

 

さいごに

留置場や拘置所で、施設側の人間の立ち合いや時間制限なく、収容されている方と面会できるのは、原則、弁護士だけです。もし、時間をかけてご本人の意向を確認したい等のご要望があれば、お気軽に当事務所までご連絡ください。

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

刑事事件について高い専門性とノウハウを有した6名の弁護士が在籍する法律事務所です。

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