パパ活をしたら違法?刑事事件の経験豊富な弁護士が解説!

パパ活とは?

近時世の中で話題になっている「パパ活」とは、一般的には、女性が謝礼を受け取り男性とデートや食事等をすることを指します。
近年ではSNSやマッチングアプリ等も普及し、男女ともに簡単にパパ活を行うことができる反面、パパ活がさまざまなトラブルの温床となる場合も少なくありません。
謝礼を渡しデートをする行為自体は犯罪に問われることはありませんが、相手が未成年であった場合や、同意を得ずに性的な行為をしてしまった場合では、犯罪に問われ、場合により逮捕されてしまうこともあります。
気軽に行われているように見えるパパ活ですが、実は多くの刑事事件のリスクをはらむものなのです。

 

パパ活で成立するおそれのある犯罪(相手が未成年の場合)

相手の女性が未成年であることを知りながら、性交等をしてしまった場合には以下のような罪に問われる場合があります。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反

標記法律は、以下の者に対し、対償(金銭等の経済的利益)を供与し、供与の約束をして、児童と性交等をすることを規制しています。(2条2項)
①児童(18歳に満たない者)、
②児童に対する性交等の周旋をした者、
③児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者)又は児童を支配下に置いている者
「児童買春」をした者に対しては「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」の刑が科されます(第4条)。

 

青少年保護育成条例違反

青少年保護育成条例は、青少年の健全な育成のため、各都道府県で定められた条例です。各都道府県で、名称や内容は異なることがあります。
例えば、東京都青少年の健全な育成に関する条例は、「何人も青少年(18歳未満の者)とみだらな性交又は性交類似行為を行ってはならない」(18条の6)と規定し、違反した場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」刑が科されます。

 

未成年者誘拐罪

性交等に先立って、未成年者を誘惑し誘拐していたという場合には、性交等とは別に未成年者誘拐罪に問われるおそれがあります。未成年者誘拐罪に問われた場合は「3月以上7年以下の懲役」刑が科されます(刑法224条)。未成年者誘拐罪は罰金刑がないため、公判請求(起訴)され、刑事裁判にかけられることになります。

 

パパ活で成立するおそれのある犯罪(相手が未成年・成年を問わない)

強制わいせつ・強制性交等罪

女性の同意なく、暴行・脅迫を用いて無理矢理性行為やわいせつ行為をした場合は、強制性交等罪・強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
強制わいせつ罪については、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」(刑法176条)とされています。
また、強制性交等罪については、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」(刑法177条)とされています。

いずれの犯罪においても、13歳未満の者に対する行為は、暴行や脅迫がなくても犯罪が成立します。

 

パパ活の女性側に成立するおそれのある犯罪等

詐欺罪

パパ活の女性側が、男性に対し、重要な事実を偽ってお金を要求し、現実にお金の交付を受けたような場合には、詐欺罪に問われるおそれがあります。人を欺いて財物を交付させた場合には詐欺罪に問われる可能性があります。詐欺罪については、「10年以下の懲役」刑が科されます(刑法246条)。

 

恐喝罪(美人局等)

パパ活の女性側が、男性に対し、その家族や会社に「パパ活の事実を伝える」などと脅迫してお金を要求し、現実にお金の交付を受けたような場合には、恐喝罪に問われるおそれがあります。女性側がパパ活の際、他の男性と共謀して恐喝を企む、いわゆる「美人局」も恐喝の類型に含まれます。恐喝罪についても、「10年以下の懲役」刑が科されます(刑法249条)。

 

不貞行為(民事上の損害賠償責任)

パパ活によって生じ得るのは刑事責任に限られません。パパ活が性交等をともなう場合、それは不貞行為に該当しますので、相手の男性が既婚者である場合、男性の妻から不貞行為に関する慰謝料等を請求される可能性があります(民事上の損害賠償責任)。長期に亘りパパ活を繰り返しているほど、損害賠償金の額は大きくなるでしょう。

 

パパ活発覚のケース

捜査機関にパパ活が発覚するケースとして多いのは、性交等の相手方となった未成年者が街中で補導され、事情聴取の過程で発覚する場合が挙げられます。近年では、未成年者がSNSに児童買春の存在を匂わせる投稿をし、サイバーパトロールをしていた警察官がそれを発見することを契機として、児童買春が発覚する場合も増えているようです。

児童買春をあっせんする業者を通じて児童買春を行っていた場合には、当該業者が風営法違反等で摘発された場合に、顧客リストが押収されることによって、警察に発覚することもあります。このほか、未成年者の親が児童買春に気づき、警察に被害相談することで発覚する場合もあります。

このように、それ自体は同意に基づくパパ活であっても、様々な契機で捜査機関に発覚することがあるのです。

 

逮捕・勾留の可能性

パパ活が刑罰法規に触れ、犯罪が成立する場合、犯罪の経緯や内容にもよりますが、逮捕・勾留される可能性が十分にあります。特に、相手方が未成年者である場合は、当該未成年者に対する働き掛け、威迫等を通して証拠隠滅がなされるおそれ(罪証隠滅のおそれ)があるとして、捜査機関が男性側の逮捕に踏み切る事例が少なくありません。

 

弁護士への依頼と弁護士の対応

パパ活が原因で警察に逮捕されてしまったり、パパ活の相手方が警察に相談をしていたりする場合には、早期に、刑事事件に明るい弁護士に相談することをお勧めします。
早期解決を目指すためには、弁護士に依頼し、被害者と示談を成立させたり、相手方から被害届の取下げを得たりすることが非常に重要になります。パパ活の経緯次第では、悪質性が低いとして刑事罰に問われないこともありますし、被害者との示談状況や被害者に対する誓約内容次第で起訴を免れたりすることもあります(起訴猶予)。パパ活を巡るトラブルに遭われた場合、刑事事件について熟知した弁護士に早期に相談することが肝要です。

ご相談・ご依頼を受けた場合、当事務所の弁護士は、依頼者や関係者から詳しい事情をうかがい、関係証拠を収集・保全します。その上で、依頼者の意向を最大限尊重しながら、パパ活トラブル解決に向けた方針を定めて実行していきます。

 

「パパ活トラブル」解決事例

当事務所は、パパ活を巡るトラブルで依頼者が恐喝罪に問われた刑事事件について、ご依頼を受け、刑事弁護を行った実績を複数有しております。
例えば、加害者女性が、他の男性とともに「美人局」に加担してしまい、パパ活相手の男性に対して金銭を要求した恐喝の事例(恐喝被疑事件)では、刑事弁護を行い、被害者男性に対する被害弁償、示談を行い、加害者は不起訴処分となりました。この事例では、当事務所の弁護士が被害者との間で粘り強く示談交渉を行った結果、合理的な被害弁償額で示談することができ、また、パパ活の経緯において被害者男性にも相応の落ち度があったことなどから、依頼者は不起訴処分(起訴猶予)となりました。

早期に弁護依頼を頂くことによって、当事務所の弁護士は、事案に応じた迅速かつ適切な対応を取ることができます。パパ活を巡るトラブルをお抱えの方は、ぜひ当事務所に早期にご相談ください。

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

刑事事件について高い専門性とノウハウを有した6名の弁護士が在籍する法律事務所です。

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