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客引きとは
客引きとは、相手方を特定して飲食店等の営業所の客となるよう勧誘する行為を指します。キャッチとも呼ばれ、人の進路を妨害したり、執拗につきまとうなどして来店を促した場合には、罪に問われる可能性があります。
客引きにおいては、警察官がおとりとなって敢えて客引きに応じ、店舗に到着し店舗の様子を観察した後、摘発されることも多くあります。そのため、客引き行為をした人物だけでなく、雇用ないし業務を委託している店舗も罪に問われる可能性があります。
不特定多数へのチラシ配りや、店舗からの声かけのような行為は、相手方の特定がないので客引きには当たらないとされています。
迷惑行為防止条例違反
客引きは、都道府県ごとに定められている迷惑行為防止条例に違反する場合があります。
例えば、東京都の迷惑防止条例は以下のように示されています。
東京都の場合の罰則は、50万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。
(不当な客引行為等の禁止)
第7条 何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1)わいせつな見せ物、物品若しくは行為又はこれらを仮装したものの観覧、販売又は提供について、客引きをし、又は人に呼び掛け、若しくはビラその他の文書図画を配布し、若しくは提示して客を誘引すること。
(2)売春類似行為をするため、公衆の目に触れるような方法で、客引きをし、又は客待ちをすること。
(3)異性による接待(風適法第2条第3項に規定する接待をいう。以下同じ。)をして酒類を伴う飲食をさせる行為又はこれを仮装したものの提供について、客引きをし、又は人に呼び掛け、若しくはビラその他の文書図画を配布し、若しくは提示して客を誘引すること(客の誘引にあつては、当該誘引に係る異性による接待が性的好奇心をそそるために人の通常衣服で隠されている下着又は身体に接触し、又は接触させる卑わいな接待である場合に限る。)。
(4)前3号に掲げるもののほか、人の身体又は衣服をとらえ、所持品を取りあげ、進路に立ちふさがり、身辺につきまとう等執ように客引きをすること。
(5)次のいずれかに該当する役務に従事するように勧誘すること。
イ 人の性的好奇心に応じて人に接する役務(性的好奇心をそそるために人の通常衣服で隠されている下着又は身体に接触し、又は接触させる卑わいな役務を含む。以下同じ。)
ロ 専ら異性に対する接待をして酒類を伴う飲食をさせる役務(イに該当するものを除く。)
(6)性交若しくは性交類似行為又は自己若しくは他人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは他人に自己の性器等を触らせる行為に係る人の姿態であつて性欲を興奮させ、又は刺激するものをビデオカメラその他の機器を用いて撮影するための被写体となるように勧誘すること。
(7)前2号に掲げるもののほか、人の身体又は衣服をとらえ、所持品を取りあげ、進路に立ちふさがり、身辺につきまとう等執ように役務に従事するように勧誘すること。
風営法違反
客引きは風営法違反にあたる場合もあります。
風営法には以下のように示されています。
第22条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該営業に関し客引きをすること。
二 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
違反した場合は懲役6月もしくは100万円以下の罰金です。
客引き行為で逮捕される可能性
客引き行為は、店舗も含めて組織的、反復継続的に行われていることが多く、事案の全容を解明するため、店舗関係者も含めて逮捕される可能性があります。警察官がおとりとなる現行犯類型では、ほとんど逮捕されると考えられます。
客引き行為で逮捕されてしまった場合、早期に、刑事事件に明るい弁護士に相談されることをお勧めします。客引き行為の経緯や当該人物の立場、関係者や証拠へのアクセス可能性によっては早期釈放の可能性もあります。他方、人を用いて首謀者として組織的に客引き行為を行っている人物については、比較的早期釈放は難しい傾向があります。
実刑の可能性は?
客引き行為の罰則は上記のとおりですが、初犯であれば略式罰金で終了することが多い類型です。仮に裁判になっても、初犯であれば執行猶予が付くことが多く、実刑の可能性は乏しいでしょう。
もっとも、人を用いて組織的に客引き行為を行っている人物については、前科・前歴なども考慮し、実刑になる可能性もゼロではありません。
客引き行為については、どのような立場で関与したかが重要な情状事実となりますので、早期釈放に向けた弁護活動を含め、刑事事件に明るい弁護士に相談されることをお勧めします。
解決事例
当事務所は、客引き行為(迷惑行為防止条例違反)について、これを行ってしまった被疑者側のご依頼を受け、刑事弁護を行った実績を多数有しております。
例えば、被疑者が店舗の指示の下、繁華街で客引き行為を行い、おとりの女性警察官によって摘発されてしまった事例では、刑事弁護を行い、早期釈放、不起訴処分となりました。この事例では、被疑者の立場が下であったことや客引き行為を始めて間もない人物であったことなどが考慮され、早期釈放、不起訴処分となったと考えられます。
早期に弁護依頼を頂くことによって、当事務所の弁護士は、事案に応じた迅速かつ適切な対応を取ることができます。客引き行為を巡るトラブルをお抱えの方は、ぜひ当事務所に早期にご相談ください。