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公務執行妨害とは何ですか?
「公務執行妨害」の公務とは何を意味するのか?
「公務執行妨害」の「公務」とは、広く「公務員」が取り扱う事務の全てを意味します。そして、この「公務員」とは、国または地方公共団体の職員や、その他法令により公務に従事する議員・委員・その他職員をいいます。「公務執行妨害」により保護されるものは、公務員個人の安全や自由ではなく、「公務(公務員の事務)」そのものになります。公務員は、例えば、公立学校の教員や役所、警察、消防署、自衛隊、議員、弁護士など、身近な職種です。他にも、天皇陛下のお仕事をニュースで報じる時に「御公務」と報道されているのを聴く方も多いと思います。宮内庁の仕事も、国の大切な公務になります。よく刑事ドラマで「公務執行妨害」という用語が使われているので、刑事事件など、警察の捜査を妨害する事を「公務執行妨害」だと思われている方は多いでしょうが、「公務」とは、とても幅広い意味を持っています。
「公務執行妨害」とは「公務」を妨害すること
「公務執行妨害」が、「公務」を「執行」しようとするのを「妨害」する事だという事は、この罪名から理解できるでしょう。どのような事が「妨害」に当たるかのかも、法で定められています。公務の執行に反する行為は刑事事件に当たり、刑法第2編第5章に規定され、この中に「公務執行妨害罪(刑法95条1項)」があります。これは、公務員が職務を執行する時に、暴行または脅迫を加えた場合に成立します。「公務執行妨害」が行われた場合、その被害に遭った公務員は「傷害罪」などについては個人的に示談ができますが、「公務」に対する罪である「公務執行妨害罪」については、弁護士を通しても示談する権利がありません。この他にも、刑法第2編第5章には「職務強要罪」「封印等破棄罪」「強制執行妨害目的財産損壊等罪」「強制執行行為妨害等罪」「強制執行関係売却妨害罪」「加重封印等破棄等罪」「公契約関係競売等妨害罪」「談合罪」があります。
「公務執行妨害」の罰則と様々な例
「公務執行妨害」は刑事事件で、罰則は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」となっています。実際に、どういう例があるか調べてみました。事例としては、警察の職務質問に対して怒鳴る、殴るなどの行為で拒否するものが最も多いようです。例えば、救急車や消防車を交通妨害しても「公務執行妨害」にはなりません。それは、公務を妨害するものではありますが、そこには法で定められている「暴行または脅迫」がないからです。もちろん、緊急自動車を妨害する行為は他の罪になりますが、妨害するだけでは「公務執行妨害」とは言えません。最近では学校が荒れているという話をよく耳にしますが、実際は、生徒が暴力や脅迫で授業を妨害する行為は、教員(公務員)の授業(公務)を妨害する事になり、「公務執行妨害」になる行為です。今のところは学校側が「傷害罪」で訴え、それ以上は触れていないようです。また、公務を執行しようとしている皇室に脅迫状を送ったり、インターネットに脅迫を意味する書き込みをする事も、「公務執行妨害」にあたります。加害者は弁護士を立ててみても、示談にはできません。