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控訴と上告ってなんですか?
判決に不満がある場合の不服申し立て
控訴と上告という言葉は、どちらも似たような場面で使われるため、同じ意味の言葉の別の表現と思われる方もいるかもしれません。
確かにこの二つの言葉の基本的な意味は同じで、現在の判決に不満がある場合に、今よりも上の裁判所にその判決の破棄、あるいは変更を求めるために行う不服申し立てのことです。
これらをまとめて「上訴」と呼び、これは刑事事件でも民事事件でも行うことができます。
しかし、わざわざ二つの言葉が用意されているのには理由があります。控訴は「第一審」の場合に使い、上告は「第二審」の場合に使われるのです。
第一審が地方裁判所で行われた場合、その判決に不満があり、もう一度審議してもらいたいと考えたなら、高等裁判所に「控訴」することができます。
そして第二審、つまり高等裁判所で出された判決に納得がいかなかった場合、今度は最高裁判所に「上告」することができます。
刑事事件における控訴の手続きについて
実際に罪を犯していなくても、弁護士の能力に問題があったり、弁護士との連係がうまくいかなかったために、有罪の判決を受けてしまうことがあります。
また、実際に罪を犯していた場合でも、必要以上に重い罰を受けることもあります。
その場合は控訴を考えるべきでしょう。
刑事事件では、控訴は被告人または検察官、第一審の弁護士が行えます。また、被告人の法定代理人や補佐人が行うこともできます。
控訴をする場合、判決から14日以内に「控訴申立書」を提出して控訴の提起をし、控訴審を行う裁判所が定めた期限までに「控訴趣意書」を提出しなければなりません。
また、刑事事件の場合には、刑事訴訟法により控訴理由が限定されています。
たとえば、刑の量刑が不当である場合や、判決に影響を及ぼすような重大な事実誤認がある場合、法令の適用の誤りや違反がある場合などです。
上告の棄却と棄却されなかった場合の流れ
控訴の結果に不満がある場合、まだ上告という手段が残されているわけですが、上告は控訴よりもさらに理由が限定されます。
刑事事件の場合は「判決に憲法の違反や解釈の誤りがある」「判決が最高裁判所の判例(無い場合は大陪審や高等裁判所の判例)と異なる」という理由以外は認められないため、上告が棄却されることも少なくありません。
上告が棄却された場合は、原判決が確定します。
一方、棄却されなかった場合、最高裁判所は原判決を破棄し、原裁判所へ差し戻して再び審理させます。
このため、上告と差し戻しが何度も繰り返され、裁判が長引いた例もあります。
また、場合によっては原判決を破棄しても差し戻しを行わず、最高裁判所が新たな判決を出すこともあります(破棄自判)。