詐欺事件の事例
振り込め詐欺に加担したと疑われて逮捕されたが,不起訴になった事例
【事案の概要】
依頼者は,知り合いの男性(A)から,誰か自分の仕事に協力してくれる人を紹介してほしいと頼まれたので,これに応じて友人(B)を紹介しました。実は,Aの言う仕事とは振り込め詐欺のことだったのですが,依頼者はこのことをAから全く知らされていませんでした。
後日,依頼者は,AやBと共謀して振り込め詐欺を行ったという容疑で,警察に逮捕されてしまいました。それと同時に,接見等禁止処分(弁護人以外の人との面会を禁止する処分)を受けてしまいました。
【経過・結果】…不起訴不処分
私たち弁護人は,依頼者の話を詳細に聴き取った上で,早期に捜査機関と面会し,依頼者には振り込め詐欺に加担するつもりなどなく,無実であるということを説明しました。
また,私たち弁護人は,接見等禁止処分の一部解除の申立てを行いました。その結果,依頼者は家族と面会することができたのです。
さらに,私たち弁護人は,逮捕された依頼者に何度も面会し,捜査機関による取調べへの対応について助言するとともに,自己の記憶に反して自白をすることがいかに危険であるかを丁寧に説明しました。
結果として依頼者は,勾留期間の満期日に処分保留で釈放され,その後,不起訴となりました。
不起訴という結果が得られた要因としては,①依頼者の主張を,早い段階で,かつ論理的に整理した形で捜査機関に伝えたことや,②依頼者が,身に覚えのない自白をすることの危険性を理解し,家族からの精神的な協力も得て,捜査機関の追及に屈することなく否認を貫いたことなどがあったと思われます。