4.痴漢事件の現状
このように、痴漢事件は、被疑者が自分の信念を曲げてしまう可能性を常に考えなければならない事件です。迷惑防止条例違反の場合は、これまで警察に逮捕されたことや、裁判で有罪とされたことのない人であれば、事実を認めれば、法廷へ行かずに略式手続という簡易な刑事手続きで、罰金により事件が終了します。
このような事情等から、本来、無実の被告人が罪を認めて冤罪事件となってしまうケースは、現在の社会における大きな問題と考えてもおかしくありません。
その原因は、日本の裁判制度の中で、起訴された犯罪事実を否認していると、裁判所によって、「罪証を隠滅するおそれがある」(保釈が許されない要件の一つ)と判断されてしまうためで、結局、事実を認めるまで保釈が許されないという多くの現実があり、このような状態は、「人質司法」とよばれています。
また、現在の社会で、痴漢事件が多く発生する電車での通勤を避けることは非常に困難です。痴漢と間違われないように、鞄や荷物を手に持つ、手が開いている場合は吊革をつかんでおくなど、常に注意している人も珍しくありません。
最近では女性専用車両を導入する路線が増えていますが、女性専用車両の運行は通勤のために混雑する時間に限られていることが多いです。また、通勤時間でも、女性は女性専用車両以外の通常の車両にも乗っていますので、女性専用車両を導入するだけでは、完全に痴漢をなくすことはできません。
痴漢事件は、誰もが巻き込まれてしまう可能性のある社会問題なのです。
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