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判決に不満がある場合の不服申し立て
控訴と上告とは、いずれも判決に対して不服がある場合にとる手続のことです。控訴とは、第一審の判決に対してするものであって、上告とは控訴審(第二審)に対してするものです。
いずれも、上級の裁判所に対して改めて判断を求めることであり、上訴の一種です。
控訴と上告は、申し立てる理由は若干異なってきますが、刑事事件でも民事事件でも行われます。
本記事では、刑事事件の控訴審に絞って解説を行いたいと思います。
刑事事件における控訴の手続き
実際に罪を犯していなくても、裁判所に提出された証拠関係や裁判官の判断によっては、有罪の判決が言い渡されてしまうことがあり得ます。
また、実際に罪を犯していたときでも、必要以上に重い刑罰を言い渡されることもあります。
これらの場合には、控訴をして、判決に対する不服を申し立てることになります。
刑事事件では、控訴は検察官又は被告人(刑事訴訟法351条)、第一審の弁護人(同355条)、被告人の法定代理人や保佐人(同353条)などが行うことができます。
控訴をする場合、判決を言い渡された日から14日以内に控訴申立書を提出して控訴の提起をし、控訴裁判所が定めた期限までに控訴趣意書を提出しなければなりません。控訴申立書は、控訴をすることのみ記載すれば足りますが、控訴趣意書には、控訴裁判所に判断を求める内容を全て記載する必要があります。
控訴趣意書の記載内容は、刑事訴訟法が定める控訴の理由を記載します。
刑の量刑が不当であること、判決に影響を及ぼすような重大な事実誤認があること、法令の適用の誤りや違反があることを理由として控訴をする場合が多いです。
控訴において弁護士ができること
控訴審は、3名の裁判官により審理されます。
3名の裁判官は、初回公判が開かれる前に、第一審の刑事訴訟記録、控訴趣意書、(追加で証拠の取調べを請求した場合には)新しく証拠請求された証拠の内容を見ることができ、それらを十分に検討してから、初回公判に臨みます。
したがって、あらかじめ3名の裁判官に、「この事件は第一審の判決を破棄しなければならない事情がある。」という心証を抱いてもらうために、充実した内容の控訴趣意書を提出する必要があります。
弁護士は、第一審の判決内容に不服を持つ被告人の方からよく話を聞き、第一審の刑事訴訟記録を細部まで検討して、充実した内容の控訴趣意書を作成し、提出します。
また、第一審判決後に大きな事情の変化があった場合(第一審判決後、被害者との示談が成立した、追加の被害弁償を行った等)、弁護士は、かかる事情を書面にまとめたり、関係者の尋問を請求したりして、控訴審の初回公判で、追加の証拠調べをしてもらえるよう準備を行います。
さいごに
控訴審は、第一審と大きく違うところが複数あります。
その違いや控訴審の審理の特徴を意識した弁護活動を行うことで、有罪判決が(一部)無罪判決になったり、実刑判決が執行猶予判決になったりすることがあります。
当事務所では、控訴審段階からの弁護活動の相談もお受けしております。
刑事事件の控訴審に関するお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。