会社の営業秘密を盗られた!?不正競争防止法に精通する弁護士が解説

先日、回転寿司チェーンを運営する会社の社長が、以前勤めていたライバルチェーンの営業秘密に当たる商品原価や仕入れ値のデータを不正に持ち出したなどとして、不正競争防止法違反の疑いで警視庁に逮捕されるという事件がありました。
この事件では社長が逮捕されましたが、もちろん平社員であっても不正競争防止法の刑事罰を受けることがあります。また、情報を持ち出した本人だけでなく雇用先の会社も多額の罰金や、民事上の請求を受ける可能性があるので十分に注意が必要です(この事件では会社に罰金3000万円、データを持ち出した元社長に懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円、社内でデータを共有した元部長に懲役2年6か月、執行猶予4年、罰金100万円の判決が下っています。)。

 

不正競争防止法とは

不正競争防止法とは「事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」法律です(1条)。要するに、各業者が不正をしないで、正々堂々と競争することで、国民経済に良い影響を与えようとするために作られました。

 

不正競争防止法の刑事罰に当たる行為

不正防止法の中で刑事罰が定められている行為には以下のようなものがあります。

・著名な商品等表示の冒用
 例:歌謡スナックの営業表示として「シャネル」を用いること(判例)

・他人の商品形態を模倣した商品の提供
 例:奇抜な形をしたゲーム機にそっくりの模倣商品を販売すること

・営業秘密の侵害
 例:秘密として管理していた半導体のメモリーの情報が業務提供先の従業員によって海外メーカーに流失した…その社員に実刑判決が下りました

・商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示
 例:豚肉をまぜたひき肉を牛ミンチとして出荷…会社の社長に実刑判決が下りました

 

不正競争防止法の刑事罰

不正競争のうち一定の行為を行った者に対して、以下の処罰が規定されています。

・営業秘密侵害罪:10年以下の懲役又は2000万円以下の罰金または両方とも科される(21条)
 ※「併科」といい、懲役刑と罰金刑両方科させる可能性があります。

・営業秘密侵害罪の一部(法人両罰):5億円以下の罰金 
 法人に対する両罰規定は、法人に属する役員・従業員が起こした業務に関連する犯罪について会社をも責任を負うというものですが、5億円という多額の罰金が科される可能性もあります。社長が罪に問われている場合はその法人も罰金刑の対象となる可能性が高いでしょう。

 

営業秘密とは

 社内で扱われる情報のすべてが、営業秘密として保護はされるわけではありません。不正競争防止法上、営業秘密として保護されるためには、「秘密管理性」、「有用性」、「非公知性」の3要件が必要とされています(2条6項)。
 具体的には、顧客情報や企業のノウハウで外部に漏出しては困るものというイメージです。その他にも、売上情報、設計図、実験データなどが判例で認められています。

 

弁護士ができること

「営業秘密侵害行為」が行われた場合、被害側としては以下のことができます。

〇民事的対抗措置

①差止め請求
 営業秘密侵害行為によって、営業上の利益を害され、また、害されるおそれがある場合には、会社はその行為者に対して、行為の差し止めを求められます。

②損害賠償請求
 会社は営業秘密侵害行為により自らが被った損害について、その行為者に対し、損害賠償を求めることができます。また、相手方の利益=会社の損害と推定する規定もあります。

③信用回復措置請求
 その行為者に対して、信用の回復に必要な措置を取らせることができます。
 例:謝罪広告

〇刑事的対抗措置

上記のとおり、営業秘密侵害行為については、厳しい処罰が規定されています。 
営業秘密侵奪罪に該当する可能性がある場合、速やかに刑事告訴の検討を行い、それが効果的と判断されるのであれば、刑事事件に精通した弁護士に依頼し、捜査機関に告訴することが肝要です。特に、インターネットやパーソナルコンピューターに関わる犯罪であると、アクセスログなど、早期に証拠化しておかなければ消失しかねないものもあり、迅速な対応が必要となります。

 

解決事案

【事案】
A社はB社に対しシステム開発を依頼し秘密情報であるところの売上情報を開示していたところ、同システム会社が、A社の競合他社であるC社に、A社の売上情報を流した事案。
【解決方法】
A社から依頼を受けた当事務所は、メールやIPアドレスを解析の上、省庁を訪ねるなどして条文の解釈を確定した後、B社を刑事告訴し、その結果、B社の代表取締役は逮捕・勾留の上、処罰されました。

 

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

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