闇金業者が逮捕されたら?貸金業法・出資法違反について弁護士が解説

「闇金」とは

「闇金」とは国や都道府県に貸金業を営むために必要な登録せず、貸し付けを行う違法な業者のことを指します。昨今ではSNSで「審査なし」「即日融資」などを謳う業者や個人が簡単に貸し付けを行うケースも増えており、闇金は一般人にとっても遠い存在ではなくなってきています。

違反する法令

それでは、「闇金」はどのような法令に触れるのでしょうか。

貸金業法違反

貸金業法により、お金を貸す行為を「業」(反復継続して行うことです)として行う場合は、貸金業登録が必要とされています。この登録をせずに、貸金業を行った場合には貸金業法違反に問われる可能性があります。
金利の多寡にかかわらず、低金利の場合でも貸金業登録は必要です。

貸金業法違反の刑は「10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金、または併科」と定められています。(貸金業法第47条)

出資法違反

金利の上限を超える利息で貸し付けをした場合には、出資法違反に問われます。
個人間融資であっても法で定められている上限金利を超える利息で貸し付けた場合では、刑罰に問われる可能性があります。

出資法では、業者が貸し付ける場合の上限金利を年20%、個人が貸し付ける場合の上限金利を年109.5%としています。
貸金業者が20%を超える利息で貸し付けた場合の刑罰は、「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金または併科」と定められています。貸金業者が、年109.5%を超えた利息で貸し付けた場合には「10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金または併科」となります。

また、業者ではない個人が年109.5%を超える利息で貸し付けた場合には、「5年以下の懲役または1000万円以下の罰金またはその併科」となります。(出資法第5条)

また、組織的な闇金業に加担していれば、組織の末端であっても組織犯罪処罰法違反に問われ、刑が重くなる可能性があります。さらに、債務者に対する取り立て行為が、恐喝罪、脅迫罪・暴行罪等に問われる可能性もあります。

貸金業法・出資法違反で逮捕される可能性が高いケース

逮捕される可能性が高いケースは、組織的な闇金業を行っている場合、長期間に亘り反復継続的に闇金業を行っている場合、債務者に対する取り立て行為が悪質である場合等です。
こうした事例では、複数人が関与して闇金業を行っていることが多く、共犯者多数の事件は、類型的に証拠隠滅のおそれが高いと判断されることが多いため、よほどのことがない限り、逮捕される可能性が高いです(場合によっては、「接見禁止」といって、弁護士以外の人との面会や手紙のやり取りを禁じる処分がなされることもあります。

貸金業法・出資法違反で逮捕されたら?弁護士のできること

貸金業法・出資法違反で逮捕された場合、これらは社会的法益に対する罪とは言われていますが、やはり、借主という事実上の被害者がいますので、少しでも刑を軽くするには、しっかりと被害弁償を行うことが必要です。
まずは、実質的被害者が多くとも、弁護士を介して、被害弁償を試みる必要があります。

また、弁護士は、そのような弁護活動を行っていることをアピールし、逮捕せず在宅事件として捜査することをアピールすることもできます。

解決事例

【事案】

Aさんは、学生の頃、闇金業者でアルバイトをしていたことがありました。
そのときに得た知識や人脈を使って、今度は、Aさん自身が闇金業者となり、常時3~4人程度の従業員を雇いながら、闇金業を営んでいました。
Aさんの営む闇金では、怒鳴ったり家に行ったりするという過激な方法での取り立ては一切行っていませんでした。
そのため、ブラックリストに載ってしまって一般の金融機関からお金を借りられない人を中心に、どんどん借り手が増えていきました。

そんなある日、警察がAさんの闇金事務所を訪ねてきて、Aさんとその場にいた従業員全員を逮捕しました。

【解決方法】

Aさんは、安易な気持ちで闇金業を始め、たくさんの多重債務者を生み出してしまったことを反省していました。

Aさんから弁護の依頼を受けた弁護士は、まず、実質的被害者に当たる借り手の人全員と連絡を取り、被害弁償を行いました。
このとき、実質的被害者の方は、宥恕やAさんに対する厳しい処罰を望まない旨の文言が入った示談合意書の取り交わしに応じてくれました。

更に、Aさんには、一般企業に就職してもらい、闇金業からは完全に手を引くことを約束してもらいました。
裁判には、Aさんを雇用した企業の社長が来てくれて、Aさんが再び闇金業を行わないよう指導・監督をすること、Aさんが望むのであれば、定年を迎えるまで雇用するつもりであること等を話してくれました。

その結果、Aさんの反省、被害弁償の完了や示談の成立、適切な監督者の存在等が評価され、Aさんは、無事に執行猶予判決を得ることができました。

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

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