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不動産侵奪罪とは
不動産侵奪罪にあたるのは「他人の不動産を侵奪する」行為です。
刑法第235条の2に定められています。
他人の不動産とは
不動産侵奪罪の「他人の不動産」とは、個人や法人の所有している土地や建物です。
不動産は、場所を移動することなく登記によって権利関係が公示されているという点で動産とは異なります。そのため、土地の所有者が一時的に行方をくらまし管理ができていない状態の不動産であっても、侵奪する行為があった場合には本罪が成立する可能性があります。
侵奪とは
不動産侵奪罪の「侵奪」とは、他人の占有を排除して自己または第三者の占有を設定することです。
不動産侵奪罪に当たると判断されたケースでは、建物を建てるなど、解体・撤去が容易ではない場合に侵奪が認められています。一方で、原状回復が容易であり、損害などが発生していないケースでは、侵奪が認められない可能性が高いです。
侵奪とは不動産の占有を排除することが必要であるため、登記の改ざんや虚偽の申請による改変は不動産侵奪罪には含まれないとされています。このようなケースは、公文書偽造罪(刑法第155条)などで処罰されます。
不動産侵奪罪の刑罰
不動産侵奪罪の刑罰は「10年以下の拘禁刑」です。
親族相盗例
不動産侵奪罪は親族相盗例の適用対象にあたります。
親族相盗例とは、親族間の犯罪は刑を免除するという刑法の特例です。刑が免除される親族の範囲は、「配偶者」「直系血族」「同居の親族」とされています。
そのため、配偶者や両親・祖父母・子供・孫などとの間で起こった不動産侵奪罪に当たる行為は、親族相盗例が適用されます。
相談事例
当事務所は、他人の土地に自動車や看板、ゴミを放置したといった占有侵害・不動産侵奪の事例について、加害者側のご相談を数多く受けております。ご依頼を受け、刑事弁護を行った実績も有しております。刑事弁護の事例では、例外的な事情もありましたが、加害者が自分の費用で占有侵害を解消することで、捜査終了(不立件)となりました。
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