目次
保釈・釈放とは何ですか?
保釈について
ある金額の保証金を納めることによって、刑事事件の被疑者が勾留されている場合にその身柄の拘束を解くことを保釈といいます。もう少し詳細に言うと、保証金を納付することで、被疑者に対する勾留の効力は残しながらその執行を停止して刑事事件被告人の身柄を解くことです。そして、保釈中に逃走を図ったり、証拠隠滅の動きをしたりした場合には保釈時に収めた保証金を没収することになります。そこで、保釈した刑事事件被疑者がそのようなことを起こさないように、保釈金の金額は設定されることとなります。
刑事事件の裁判では本来は被疑者の有罪が確定するまではまだ犯人ではなく、本来であれば身柄を拘束することはできる限り避けるべきで、有罪確定前にもかかわらず身柄を拘束され、帰宅も仕事もできない状況では被疑者にとって大きな社会的な不利益が出てしまいます。現実に刑事事件の被疑者は身柄を拘束されることが大多数です。そこでその後の裁判に出頭し裁判を受けていくための保証を確保して被疑者の身柄を一度開放するための制度が保釈制度ということになります。
刑事事件被疑者となって勾留された場合、被告人やその家族、弁護士からの保釈請求を受けて裁判所が刑事事件の重大性、逃亡や証拠隠滅の可能性、被告人の家庭環境等様々な事情を考慮して保釈の可否や保証金の金額を判断します。このような手続きにおいてはやはり専門家である弁護士の協力が必要です。弁護士は保釈請求に際し必要な条件として保釈保証金を準備できること、身元保証人準備できること等について裁判官との調整を行うことができます。弁護士はここで、被告人に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを説明し、保釈がかなうように働きかけます。
権利保釈
権利保釈は以下のすべてに該当しない場合において当然の権利として認められる保釈を言います。
・死刑、無期または短期1年以上の懲役、禁固刑にあたる罪を起こしたもの
・死刑、無期懲役または10年を超える懲役、禁固にあたる罪を犯し有罪となったもの
・常習として長期3年以上の懲役、禁固にあたる罪を犯したもの
・証拠隠滅のおそれがあるとき
・被害者、その他の事件の関係者やその親族の身体や財産に危害を加えたり、畏怖させる
行為をするおそれのあるもの
・氏名または住居のわからないもの
裁量保釈
権利保釈で述べた条件のいずれかに該当する場合においても、弁護士が説明する多角的な事情を考慮して裁判所が保釈が相当であることを判断した場合を言います。
義務的保釈
捜査上の取り調べ期間中の交流が不当に長くなった場合に、裁判所が保釈を判断することを言います。
保釈後について
いずれの場合の保釈においても、裁判所からの出頭命令には必ず応じることが条件とされ、保釈中にそれに反して逃亡したり、証拠隠滅を図ったりした場合には保釈は取り消されたうえで保証金の一部または全額は没収されることになります。また、違反することなく裁判手続きが終了すれば保証金は返還されます。