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弁護士の守秘義務とは?
依頼者の秘密の暴露は禁じられている。
弁護士職務基本規程の第23条には「弁護士は、正当の理由なく、依頼者について職務上知りえた秘密を他に漏らし、又は利用してはならない」と定められています。
つまり、弁護士の職務上知りえた秘密は守らなければならないと法律上で義務づけられているということです。これを守秘義務と言います。
ですから、依頼者の秘密を暴露した場合は、原則として、この規程に違反することになります。
もしもこの規定を破った場合、弁護士は弁護士会へ懲戒請求を起こされる可能性があります。場合によっては弁護士資格が剥奪される除名処分を受けることもあります。
また、守秘義務は刑法134条でも規定されているので、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処される可能性もあります。
それだけではなく、秘密を暴露された依頼者から慰謝料や損害賠償請求をされることもあります。
どうして弁護士には守秘義務があるのだろうか
例えば、刑事事件を考えてください。
もしも弁護士に守秘義務がなければ、どうなるでしょう?
弁護士が被告人の言うことをペラペラとしゃべったら、安心して弁護士にすべてを話すことは出来ません。特に自分に不利になりそうなことは決して話さないでしょう。
また、弁護士も被告人が真実を打ち明けてくれるとは限らないことから、刑事事件の裁判での弁護活動に著しく支障をきたすでしょう。
これは被告人にも、担当の弁護士にも良いことはありません。
守秘義務があるからこそ、例え、自分に不利なことであっても暴露されないと安心してすべてを話せるのです。
そして、弁護士も全力で刑事事件において被告人を弁護することが出来るのです。
この守秘義務ですが、例え依頼人の家族といえども、秘密が暴露されることはありません。
ですから、刑事事件でもしも家族と情報を共有したいというときには、その旨を弁護士に話し、家族への守秘義務を解除するように変更しなければなりません。
また、この守秘義務ですが、無料の法律相談といえども、秘密を守る義務が課されます。
ですから、各地域の弁護士会が行っているような無料の法律相談でも、民事訴訟や刑事事件にかかわらず、嘘などつかずに正直に話した方がいいでしょう。
弁護士といえども守秘義務を守らなくてよい場合
弁護士には守秘義務があります。
とはいえ、何でもかんでも話してはいけないというわけではありません。
そもそも守秘義務を定めた弁護士法23条自体、「但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない」と守秘義務が免除される可能性があることを示唆しております。
また、正当な理由がある場合や本人等の同意がある場合も、守秘義務が免除される可能性があります。
正当な理由とは、例えば、これから殺人を犯す予定を相談されたときなどです。
この話された内容が具体性に富み、弁護士が諭しても犯行を断念しそうにないときなどは守秘義務があるといえども、弁護士は警察に話してもよいことになっています。
守秘義務を守らなくていい場合があるとはいえ、それらは例外であり、一般的な民事訴訟や刑事事件では必ずと言っていいほど、守秘義務は守られると言ってもいいでしょう。