Aさん
私はこれまで4回,女性用トイレに侵入してしまいました。3回目に逮捕されたとき,ついに起訴され,執行猶予付き判決を受けることとなりました。それにもかかわらず,執行猶予期間中にまた女性用トイレに入ってしまい,逮捕され実刑判決を受け,2カ月前に出所してきたばかりです。
Bさん
僕は,痴漢で2回逮捕されたことがあります。痴漢をしたことをすぐに認めたら,3日ほどで釈放され,罰金を支払って終わりました。
弁護士
お二人とも,なぜ同じ行為を繰り返してしまうのですか?
Bさん
女性のお尻を触りたいという衝動が抑えられなくなって,つい…
Aさん
私も欲望をコントロールできないことが原因です。逮捕される度に,「もうお二度とこんなことをしない。」と心から誓うんです。実刑判決が下されたとき,傍聴席にいた母は大泣きました。親不孝ばかりして,私はつくづく駄目な人間です。
弁護士
駄目な人間などでは決してないですよ。お二人は,そもそもどうして衝動や欲望が起きてしまうのでしょうか。
Bさん
なんででしょう…考えたことがありませんでした。
Aさん
上司に叱られたり,営業先で嫌な思いをした直後などに,ついふらっと女性用トイレに入ってしまうことが多かったかな…
弁護士
お二人とも,心療内科や精神科等の医療機関で相談したことはありますか?
異性に対する性的な衝動を自制できずに性犯罪を繰り返してしまう場合,性依存症といった精神上の問題が原因かもしれません!
※ 性犯罪の具体例 ⑴ のぞきや盗撮による建造物侵入罪(刑法130条前段) ⑵ 痴漢行為による,各都道府県の迷惑防止条例違反 ⑶ 下着などの窃盗罪(刑法235条) ⑷ 露出などの公然わいせつ罪(刑法179条),軽犯罪法違反 ⑸ ストーカー規制法違反 ⑹ 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止 法)違反 ⑺ 強制わいせつ罪(刑法176条),準強制わいせつ罪(刑法178条1項),強制わいせつ等致死傷罪(刑法181条) ⑻ 監禁罪(刑法220条) ⑼ 小児性暴力などによる監護者わいせつ及び監護者強制性交罪(刑法179条),児童虐待の防止等に関する法律違反 ⑽ 強制性交等罪(刑法177条),準強制性交等罪(刑法178条2項),強制性交等致死傷罪(刑法181条2項),準強制性交等致死傷罪(刑法181条2項) などが挙げられます。 |
性依存症とは,「してはいけない」とわかっていながらも,性的な欲望や衝動を抑えることができず,自分自身の意思にすら反して特定の性的な行動を強迫的に繰り返してしまう依存症です。法律に抵触するような性的な行動の他,自慰行為や浮気,風俗店利用等が極めて多数回に至るといった合法的な性的行動に出る人も性依存症の可能性があります。最近では有名なアメリカのゴルファーも自らが性依存症であることをカミングアウトしましたね。
性依存症に至る原因は,様々な原因が考えられます。具体的には寂しさや空虚感,職場や学校,家庭内などにおけるストレスや,過去に受けた性的虐待等が原因になると言われています。
性依存症の方は,特的の性的行動を繰り返すことに特徴があります。
肉体的・精神的な充足感や,刺激やスリルを味わうことの快感などを得るため,回数が増すだけでなく,性的行動の内容がエスカレートすることもあります。更には,自身の性的行動が正当な理由に基づく行為であると信じたいがために,「目の前の異性は私の性的行為を受け入れる気持ちがある」とか,「この異性は悪い奴だから,私が性的行為をしてもかまわない」などの誤った理解,『認知のゆがみ』が生じてしまう人もいます。
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性依存症のポイント●
性依存症か否かの判断は,心療内科や精神科の診察によってなされますが,性依存症と診断を受けた場合は,心療内科・精神科医師の指導の下,
① どういうときに性的衝動・欲望が発生するのか
② 性的衝動が生じた場合,どのように対処することで,再犯を回避するか
などを身に着けていく治療プログラムが実施されます。
さらには,性的衝動・欲望が発生する根源的な理由の解明に向けた治療がなされることもあります。
ヴィクトワール法律事務所の弁護士への相談をお勧めする理由
事実関係について争いのない性犯罪について,ヴィクトワール法律事務所の弁護士にご相談いただいた場合は,被害者との示談交渉や捜査機関との折衝はもちろんですが,性依存症が疑われる方に対しては,性依存症に強い医療機関と連携した上での弁護活動をいたします。
Aさんもおっしゃっていましたが,性的行為が発覚し,捜査機関や司法機関が関与する事態になった場合,「もう二度とこのような行為をしない。」と思う方がほとんどです。しかし,何回も繰り返してしまうのは,性依存症が原因である可能性があります。性依存症が原因である場合,性的衝動・欲望が生じた際の対処方法を身につけたり,そもそも性依存症を引き起こしている心の問題を解決するなどしない限り,性的行為を繰り返してしまうのは当たり前のことなのです。
Aさん
私もひょっとしたら性依存症が原因で,女性トイレへの侵入という同じ性的行為を繰り返してしまうのかもしれませんね…
弁護士
可能性はあると思います。Aさん,過去4回の建造物侵入行為はどうして見つかってしまったのですか。
Aさん
女性トイレから出たところを警備員から声をかけられたり,私が個室にいるところを警備員から声をかけられたりして,見つかってしまいました。
弁護士
では,女性とトイレ内で出くわしたことはないのですね。もし,女性とバッタリ出くわしてしまい,Aさんと女性の二人きりだったら,どうなっていたと思いますか。
Aさん
そのまま逃げると思いますが,女性に騒がれてしまったら口をふさいだりしたかもしれません。
重大犯罪化への危険性
もし,Aさんがトイレ内で女性の口をふさいでいたら,建造物侵入罪の他に暴行罪(刑法208条)が成立していた可能性があります。暴行により,女性に怪我をさせたしまったら傷害罪(刑法204条)が成立し得,更には,女性と二人きりであるのを良いことに嫌がる女性の身体を触ったり,性交渉にまで至っていた場合は,強制わいせつ罪や強制性交等罪にまで発展していた可能性もあります。
Bさん
そう考えると,早期に弁護士に相談した方が良いですね。
弁護士
そのとおりです。事件の処分を決める検察や裁判所は,再犯をする可能性がどれだけあるかということを重視します。医療機関で治療を受けるなど自らの罪と真摯に向き合い,再犯防止に全力を尽くす姿勢を見せれば,検察や裁判所は「再犯の可能性は低い」という判断をし,ご本人にとって良い処分をしてくれる可能性が高まります。
さらには,1回目,2回目の痴漢や建造物侵入であれば,不起訴処分や罰金処分で済んでしまうことがありますが,この段階で弁護士に相談していただけたら,性依存症が原因であると気付ける可能性も高いのではないでしょうか。性依存症が原因であるならば,そのことを自覚し,一日も早い治療を受けない限りは今後も性犯罪を繰り返してしまう可能性が高いといえます。性犯罪を行う頻度が高ければ高いほど,偶然が重なって重大犯罪に至り,取り返しのつかない事態になる可能性も高まります。また,より強い充足感や刺激を得たいと考えるようになって,性的行為自体の内容がエスカレートして,重大犯罪を引き起こしてしまう可能性も考えられます。
☆ ヴィクトワール法律事務所では,早いうちに性依存症に気付き,医師の指導も受けながら,弁護士が共に再犯防止のための方策を考え,その事件だけでなく,今後もご相談者様が穏やかで幸せな人生を送れるよう,お手伝いをさせていただきます。
性犯罪を起こしてしまわれた場合,どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。