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痴漢(ちかん)事件について

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目次

1.痴漢事件とは

2.痴漢事件の捜査、裁判

3.痴漢事件の逮捕・勾留

4.痴漢事件の現状

5.痴漢事件への当事務所の対応

 

1.痴漢事件とは

代表的な痴漢事件としては、電車内での痴漢があります。多くの場合、痴漢をされた人(被害者)や周囲の乗客が、ある人が痴漢をしていると指摘して発覚します。

そして、痴漢の疑いをかけられた人は、駅員控え室などに連れて行かれ、そこで話を聞かれ、事実関係が確認されます。駅員控え室などに連れて行かれると、多くの場合で駅側担当者が最寄り警察署等の警察官に通報し、駆けつけてきた警察官に犯人として引き渡されます。引き渡された人は、そのまま痴漢事件の被疑者とされて逮捕・勾留に進んでしまうケースも多いです。
痴漢事件は、被害者にとっては避けることができず、突然に被害に遭ってしまうということから、悪質な犯罪ということができます。

しかし、特に満員電車内での痴漢事件は、十分に見渡すことができない場所で行われるため、真犯人が誰であるのかの特定が難しい場合があります。被害者が背後から痴漢され直接犯人の手をつかむなどできないときは、犯人を確認するには一度振り向かなければならないので、素早く犯人を見つけることができません。

場合によっては、被害者が犯人を見誤ってしまい、実際に痴漢をしていない人が疑われてしまうこともあります。

実際には痴漢をしていないのに被疑者とされた人は、「自分は痴漢をしてない。」と主張する場合がほとんどでしょう。しかし、表向きには痴漢行為をしたことを認めてしまう場合が見受けられます。

実際にしていないのに、なぜ認めてしまうのか疑問に思われるかもしれません。しかし、多くの人々にとって、警察署などの取調室内において、警察官から一方的に取調べを受ける場合、痴漢行為をしていないと主張し続けることは簡単ではありません。

特に警察官が、被害者の言い分などから痴漢行為の存在を確信している場合などでは、いくら身の潔白を主張し続けても、なかなか話を聞いてもらえず、なかば諦める形や、後から本当のことを言えば良いなどと考えてしまうことは珍しくありません。

現実問題として、多数の乗客等公衆がいる前で敢えて声を上げた被害者の訴えは信用されやすく、被害者の言い分に明確な矛盾や不合理がないかぎり、被疑者とされた人の言い分はなかなか信用してもらえません。また、痴漢行為をしていないと言い続けることが、かえって自己の犯行を隠そうとしている、責任を免れようとし、反省していないなどと判断されて、釈放される時期も後れてしまいます。

 

2.痴漢事件の捜査、裁判

(1)痴漢事件の犯罪名
痴漢行為は、おもに、通常「迷惑防止条例」といわれている都道府県が定める条例に違反する場合と、刑法の強制わいせつにあたる場合があります。

都道府県によって迷惑防止条例の罰則に多少の幅がありますが、東京都の迷惑防止条例(「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」)では、単純な痴漢行為は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金(法定刑、科すことができる刑の上限。)と定められています。

また、行為の態様や回数等が悪質な場合には、さらに重い刑を科すことができると定められています。

(2)被害者の言い分が信用されてしまう事情
起訴された被告人が痴漢行為を認めていないのに、有罪になることがあるのかと聞かれることがありますが、被害者の言い分などから有罪とされてしまうこともないとはいえません。

「証拠がないのではないか。」とおっしゃる方もいますが、裁判では、被害者の証言もひとつの証拠として扱われます。

痴漢事件では、警察官は、先ず被害者の言い分を確認することが多いので、被害者の言い分に引きずられてしまうおそれがあります。

被害者が言っていることが真実かどうかを判断することは簡単ではありません。被害者の供述が信用できるかについて、裁判所や裁判官の判断が別れることもあります。裁判では、次のような要素を検討して、被害者の言っていることが本当かどうか吟味されています。捜査段階での警察官や検察官も、これらの要素を考えながら捜査を行うことになります。

(1)他の客観的証拠と整合するのか、矛盾するのか
(2)供述に至る経緯は合理的か、取調べ官による誘導や威迫はされなかったか
(3)供述内容は一貫しているか、合理性を疑われる部分はないのか、変遷しているか、また、変遷は合理的に説明できるのか
(4)虚偽供述の動機のあるか

(3)痴漢の捜査
事件の捜査において最も大切なことは、事件に関する証拠を十分に集めることです。

証拠には、物証(客観的証拠)と、人証(人的証拠)に分けることができます。証拠としての価値に絶対的な優越はありませんが、動かしがたい物証(客観的証拠)が重視されれば、誤った判断がされる可能性は減らすことができると考えられています。そのため、捜査や裁判においても、客観的証拠が重視されています。

しかしながら、痴漢事件の捜査は、比較的短時間で行われ、痕跡が残りづらく、客観的証拠が少ないことが特徴です。そうであるからこそ、被害者の証言が重視される傾向があるともいえるのです。
そして、被害者や目撃者などにより被疑者がすでに特定されている場合は、被害者の供述内容や、被疑者の弁解について、一般の事件と比較して十分な裏づけ捜査が行われない可能性も考えなければなりません。

また、警察官や検察官は、
「否認を続けると身柄拘束がいつまでも続く。」
「被害者と示談を成立させれば起訴しない。」
などと説明することがあります。

これらの説明は、一面では真実を表していますが、結果的には、被疑者に対して自白をしたほうが有利であると伝えることになってしまします。このようなことを言われると、いきなり痴漢の犯人であると言われ、警察から取調べを受け、誰にも相談できていない被疑者においては、「早く認めて外に出たい。」と考えることはやむを得ません。

もしこのようにして被疑者が真実に反する内容を認めてしまうと、被害者と被疑者の言い分が合致したとして、客観的証拠の収集が軽視されるおそれが存在してしまいます。

 

3.痴漢事件の逮捕・勾留

(1)逮捕・勾留

現在、日本の刑事事件では、統計上、逮捕されると90%以上の割合で勾留されています。この傾向は、迷惑防止条例違反事件や強制わいせつ事件でも変わりません。

そして、否認している被疑者は逮捕されることが珍しくなく、そのまま10日間勾留された後、さらに勾留期間を10日間延長されるケースが多々あります。

被疑者とされて、10日を超えて勾留されてしまうと、勤め先に対する説明が困難になってしまいます。逮捕・勾留とは、犯罪をしたと疑われている状態に過ぎず、被疑者がその犯罪をしたかどうかは未確定なのですが、勤め先によっては、逮捕・勾留されたということだけで働き続けることが困難になる場合も珍しくありません。
ですから、被疑者の中には、逮捕・勾留されたことを勤め先に伝えず、家族などを通じて病気や有給休暇などとして勤め先に対して説明してもらうことがままあります。しかし、10日近く勾留がされてしまうと、これらの理由では説明しきれなくなってしまいます。

そのため、早期の釈放を求めて、検察側の見立てどおりに、してもいない痴漢行為を認めてしまう被疑者がいることは常に考えておかなければなりません。

(2)勾留に対する対応

被疑者として勾留されても、起訴されるまでの間に保釈制度はありません。

ただ、準抗告という手続きにより、勾留決定の取消しを求めることができますし、検察官が裁判官に対して勾留を請求するときに、弁護人が勾留されるべきではないとの意見を裁判官や検察官に伝えることができます。

被疑者に家庭があり、定職を持っており、今後の捜査に協力することが見込まれるときや、勾留期間中に何ら具体的な取調べをしていないにもかかわらず勾留を延長する場合などは、勾留の必要性がないと訴えていくのです。

勾留決定の取消しは、被疑者が証拠を隠すことが十分に疑われる(罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある)場合や、逃亡することが十分に疑われる(逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある)場合には認められませんが、そもそも痴漢冤罪被害者は、家庭(住所)や定職がある場合が多く、隠滅すべき証拠がほとんど存在せず、罪証隠滅のおそれもなく、かつ、逃亡する可能性もきわめて低いというべきです。

また、被害者と被疑者の供述は、逮捕後勾留請求をするか否かを判断しなければならない72時間の間に十分取ることができるのであり、勾留の必要性は高くない場合が多いといえます。

痴漢事件では、被疑者と被害者との間に面識がないことも多く、このような場合は、被疑者から被害者への働きかけることも考えられません。

しかし、このような取消し等と求めても、検察官もそれなりの証拠に基づいて勾留請求していますから、これら取消し等が認められるケースは少ないのも事実です。

 

4.痴漢事件の現状

このように、痴漢事件は、被疑者が自分の信念を曲げてしまう可能性を常に考えなければならない事件です。迷惑防止条例違反の場合は、これまで警察に逮捕されたことや、裁判で有罪とされたことのない人であれば、事実を認めれば、法廷へ行かずに略式手続という簡易な刑事手続きで、罰金により事件が終了します。

このような事情等から、本来、無実の被告人が罪を認めて冤罪事件となってしまうケースは、現在の社会における大きな問題と考えてもおかしくありません。

その原因は、日本の裁判制度の中で、起訴された犯罪事実を否認していると、裁判所によって、「罪証を隠滅するおそれがある」(保釈が許されない要件の一つ)と判断されてしまうためで、結局、事実を認めるまで保釈が許されないという多くの現実があり、このような状態は、「人質司法」とよばれています。

また、現在の社会で、痴漢事件が多く発生する電車での通勤を避けることは非常に困難です。痴漢と間違われないように、鞄や荷物を手に持つ、手が開いている場合は吊革をつかんでおくなど、常に注意している人も珍しくありません。
最近では女性専用車両を導入する路線が増えていますが、女性専用車両の運行は通勤のために混雑する時間に限られていることが多いです。また、通勤時間でも、女性は女性専用車両以外の通常の車両にも乗っていますので、女性専用車両を導入するだけでは、完全に痴漢をなくすことはできません。

痴漢事件は、誰もが巻き込まれてしまう可能性のある社会問題なのです。

 

5.痴漢事件への当事務所の対応

最も大切なことは、被疑者とされた人が、本当に痴漢行為をしてしまったのかどうかです。記憶が不鮮明である場合などは、当時の状況を思い出すよう、手助けをいたします。

 

実際には痴漢行為をしておらず、警察官にもそのように説明しているのになかなか納得してもらえないと、被疑者とされた人はどんどん孤独になっていってしまいます。ましてや、「痴漢をした。」と認めれば釈放される見込みが高いのに、「痴漢をしていない。」と真実を述べ続ければ20日間以上も身体の自由を奪われると思えば、捜査機関に対して否認を続けるには強い精神力が必要です。

 

当事務所の弁護士は、まずは突然逮捕・勾留されてしまった心のケアに徹します。

 

そのため逮捕・勾留された人との接見をできる限り優先し、依頼を受けた当日中に接見できるよう努力しています。痴漢事件は、特に各状況によって対応も変わってきますし、無実の主張を貫き通す場合はかなりの労力が必要になります。

 

また、実際に痴漢をしてしまった方に対しても、どのように対処していけば良いかの説明から、今後の具体的対応方法までアドバイスをして、依頼者の方と一緒に考えていきます。

 

痴漢事件は、事件後の本人の行動によって特に大きく結果が左右されます。

 

痴漢事件は、客観的証拠が少なく関係者の供述が重視されることから、被疑者とされた人の捜査機関に対する初期の供述が非常に重みを持っています。初期の供述に不合理・不自然な内容が認められると、捜査機関から疑いをもたれ、これを晴らしたり、真実を伝えたりすることが難しくなってしまいます。

 

また、初期の供述段階で痴漢行為を認めてしまうと、後から「痴漢はしてい。」と述べたとしても、信用されるのは簡単ではありません。もしその後に裁判になってしまった場合には、「痴漢をしました。」との供述調書は、証拠として裁判官の目に触れてしまうことを覚悟しなければなりません。

 

痴漢事件で逮捕・勾留された人は、今後捜査機関にどのような対応をすればよいのか、自分の主張を認めて貰えるのか、今後自分はどうなるのかなどについて、悩まれること、或いは、弁護士と相談したいと考えられることが多いと思われます。

当事務所では、このように逮捕・勾留されて困っている方々に寄り添い、共に苦労して、被疑者とされる方にとって有利な事情や証拠を見つけ出し、捜査担当の警察官・検察官に伝えて、できる限り真実を前提とした公正・公平な処分を受けられるよう弁護活動を続けております。

 

早期に当事務所にご相談頂ければと思います。

 

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