ひき逃げとは

ひき逃げとは

交通事故で人を死傷させてしまった際,負傷者の救護などをせずその場から逃げる行為を指します。事故で人を死傷させてしまった場合に受ける刑事罰に加えて,救護などをせずに逃げる行為が道路交通法の救護義務違反として罪に問われることになります。

ひき逃げで逮捕された場合,勾留や起訴される可能性が高くなります。不利益を回避するためにも,早期に弁護士に依頼することが重要です。

 

ひき逃げの刑罰

ひき逃げは,2つ以上の罪が成立する可能性が高い犯罪です。例えば,事故を起こし相手を負傷させ,救護などせずその場から立ち去れば過失運転致傷罪と救護義務違反の2つの罪に問われます。

2つ以上の罪が成立する場合には併合罪となり,懲役・禁錮刑の場合,より重い罪の刑期の上限にその2分の1が加算されます。そのため刑の上限は,より重い刑の1.5倍となります。罰金の場合は,それぞれの罪の罰金の上限の合計額となります。

 

救護義務違反・報告義務違反

ひき逃げ行為は道路交通法の救護義務違反に該当します。救護義務違反は,道路交通法の中でも特に厳しい罰則が定められています。

交通事故の当事者(車両の運転手と同乗者)は,すぐに運転を停止して,負傷者を救護し,道路における危険が生じないように措置を講じなければなりません。適切な措置を講じることなく現場から逃げてしまった場合,救護義務違反に該当します。

ひき逃げに該当するのは人の死傷があった場合に限られます。負傷者のいない事故を起こし,現場を立ち去った場合には道路交通法の報告義務違反(当て逃げ)に問われることがあります。

 

救護義務違反では,10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。救護義務違反で処罰されない場合や人の負傷がなかった場合でも,警察への事故の報告を怠れば報告義務違反として3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。

 

過失運転致死傷罪

過失運転致死傷罪は,自動車の運転上必要な注意を怠って人を死傷させた際に適用される犯罪です。7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金が科せられます。

 

危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪は、危険な状況で自動車を運転し、人を死傷させた際に適用される犯罪です。具体的には,危険運転致死傷罪の対象となる危険な状況とは,アルコールや薬物で正常な判断ができない状態での運転,制御困難な高速度での運転,信号無視,一方通行道路の逆走などが対象となります。危険運転致死傷罪は,過失運転致死傷罪とは違い自分の運転が危険であるとの認識がある(故意がある)場合に成立します。

負傷の場合は15年以下の懲役,死亡の場合は1年以上の20年以下の懲役が科せられます。

危険運転致死傷罪での起訴割合は80%を超えており,厳しい罰則が設けられています。

 

ひき逃げの行政罰

救護義務違反の違反点数は35点です。

 

救護義務違反の事例

以下のようなケースでも救護義務違反に当たる可能性があります。

 

当事者間の話し合いで解決したケース

事故を起こした当事者間の話し合いで警察を呼ばずに解決した。

 

相手方に過失があったケース

相手方に過失があり生じた事故だったため,救護措置を取らずに現場を立ち去った。

→事故の過失は関係なく,救護義務違反にあたることがあります。

 

弁護士に依頼するメリット

取調べに対するアドバイスをもらえる 

取調べでは、警察や検察は被疑者に事件に関する供述を求め、被疑者の話した内容を調書にまとめます。この調書は,本人の言い分として,捜査において価値の高い証拠となります。もっとも,一旦,作成した調書の内容を覆すのは,簡単ではありません。弁護士と取調べに対する対応について慎重に話し合い,適切な対応をしていく必要があります。

また,脅迫や誘導などの手段による不当な取調べが行われた場合には,弁護士が警察や検察,裁判所に抗議をすることもできます。

 

早期の身柄解放を目指すことができる

逮捕・勾留となった場合には長期の身体拘束を受けることになり,職場や学校など社会生活での不利益が予想されます。

弁護士は意見書の提出や面談などを行い,検察官や裁判官に勾留の必要性がないことの説明など,早期の身柄解放へ向けた交渉を行います。

 

被害者との示談交渉ができる

検察官は被害者の処罰感情や被害弁償などを考慮して最終処分を決めるため,示談が成立すると最終処分が軽くなる可能性が高まります。

加害者は,保険会社との示談とは別に刑事事件における示談を必要とする場合もあります。しかし,被害者は本人やその家族に会いたがらないときが多く,また加害者の身柄が拘束されていれば被害者と会うことが物理的にできませんので,弁護士が間に入って交渉することになります。弁護士が,被害者の立場にも理解・共感を示しつつ、丁寧な事情説明等により被害者のストレスを軽減し、結果として示談が成立する可能性が高まります。

 

まとめ

ひき逃げは逮捕・勾留,起訴される可能性の高い犯罪です。早期に弁護士に依頼し,見通しを立てて弁護活動を進めていくことが重要です。刑事事件の豊富な知識や経験を持つ当事務所の弁護士が早急に弁護に臨みます。

ひき逃げをしてしまった方,逮捕されてしまった方のご家族のご相談をお待ちしております。

 

 

 

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

刑事事件について高い専門性とノウハウを有した6名の弁護士が在籍する法律事務所です。

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