クレプトマニア(窃盗症)について

たかが「万引き」と侮るなかれ
~ 繰り返す万引き・窃盗は『クレプトマニア』・『窃盗症』が原因かも!?

Aさん
「スーパーマーケットで苺1パックとお惣菜2パック,ほうれん草1杷の合計1142円分,万引きしちゃったわ。警備員に事務所まで連れて行かれて叱られました。その後,警察で事情を聴かれましたが,すぐに家に帰ることができ,後で警察官に確認したら,不立件となっていました。」
※ 不立件:事件が正式に検察庁に送られず,警察署内で終了すること。

Bさん
「コンビニエンスストアで雑誌1冊と,おにぎり1個の合計538円分,万引きしちゃったよ。すぐに警察に通報されて,警察署で取調べをされたけど,後日,微罪処分で終わったよ。」
※ 微罪処分:刑事訴訟法及び犯罪捜査規範に基づき、司法警察員が捜査した事件について犯罪事実が極めて軽微で、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないと予め指定されたものについて、送致を行わずに刑事手続を終了させる処分

弁護士
 そのとき,あなたは弁護士に相談しましたか?

Bさん
「えーっ!こんな,子どもがするような微々たる犯罪で,いちいち弁護士に相談するわけないよ。」

Cさん
 「そうだよ。私はこれまでにスーパーマーケットやコンビニエンスストアで3回,万引きをしたけど,3回目の万引きのときに30万円の罰金を振込用紙で支払ったら,事件が終わったよ。刑務所に入ることにはならなかったし,いちいち弁護士に相談だなんて,大袈裟だよ。」

弁護士
 弁護士に相談することは決して大袈裟ではありません!!
万引きしたものの価値がどんなに小さくても,それは『窃盗罪』という犯罪(刑法第235条)に該当します。
確かに,あなたに定まった住所や職場があって,逃亡のおそれがないときや,万引きしたことを素直に認めていたり,万引きしたものの額が小さかった場合などは,逮捕されることなく,在宅事件として扱われ,微罪処分や検察官の不起訴処分,罰金刑などにより,あなたの窃盗事件は終わることもあるでしょう。
しかし,万引きの回数が2回,3回,4回,5回…と重なった場合や,前の万引き事件からあまり日にちを経ていない中で,万引きを繰り返してしまったらどうなるでしょうか?

* 令和3年3月18日 東京地方裁判所立川支部・判決 

懲役1年・執行猶予4年(保護観察付)
【事案の概要】
酒が飲みたいという動機の下,約400円のアルコール飲料を万引き
【主な判決理由】
・ 以下,3点の理由により窃盗の再犯可能性が認められる
① 過去に窃盗の罰金前科があること
② 平成30年8月に,万引きによる窃盗事件で執行猶予付き判決を受けてから2年半も経過しないうちに本件万引きを行ったこと
③ 今回の万引きも前回同様,「酒が飲みたい」という同じ動機に基づくもので,常習性が認められる。

* 令和2年9月16日 行橋簡易裁判所・判決

懲役8月
【事案の概要】
ドラッグストアにて,栄養ドリンク2パック(販売価格合計5632円)を万引き
【主な判決理由】
・  以下の前科,前歴もあり,窃盗の再犯可能性が認められる
① 平成20年3月の万引き:罰金刑
② 平成21年7月の万引き:3年間執行猶予付き有罪判決
③ 平成26年6月の万引き:4年間保護観察付き執行猶予判決
④ 令和元年9月8日の万引き:微罪処分
・  被告人の規範意識は希薄と言わざるを得ない。

Cさん
 「えーっ!!万引きも繰り返すと,実刑判決になることがあるんだね。」

弁護士
 「ですから,たかが万引きと侮ってはいけません。
  Cさん,あなたは3回万引きをしたとのことでしたが,なぜ万引きをしたのですか?お金がなかったからですか?」

Cさん
 「いや,どの万引きのときも財布に20000円は入っていたし,払えないことはなかったんだけど…どうして万引きしちゃったのかなぁ…」

Bさん
 「俺も,538円くらい払うのは訳なかったけど,なんかさぁ,誰も見ていないから,万引きしてもバレないと思ったし,スリルがたまらないんだよね。」

弁護士
 Bさん,万引きが発覚したときのリスクよりも,万引き行為時のスリルを優先するのはなぜですか?それに警察へ連行されたら,帰宅が遅くなるなどして家族に心配をかけませんか?家族に,万引きのことを打ち明けましたか?」

Bさん
 「そりゃあ,バレたら色々と面倒だし,警察署や検察庁での取調べも緊張するし,嫌だよ。でもさ,なぜか無意識に身体が動いて万引きしちゃうんだよ。あと,家族や友達に万引きのことを打ち明けたら,軽蔑されるだろうから絶対に話すことはできないよ。」

Aさん
 「夫に叱られてしまうだろうから,私も万引きのことを打ち明けられないわ。」

ここが落とし穴!!
 お金に困っていないのに,万引きを繰り返してしまう方が多くいらっしゃいます。皆さん,好き好んで万引きを繰り返しているのではありません。店員や警察官に見つかってしまった都度,「二度と万引きはやらない!」と心に誓う方がほとんどです。
 しかし,なぜか,万引きを繰り返してしまう方がかなりの割合でいらっしゃいます。それはどうしてでしょうか。
Aさんたちはいずれも,「なぜ,万引きを繰り返してしまうのか?」という,万引きをしてしまう理由を突き詰めて,認識できていません。Bさんは「スリルがたまらない」と言っていましたが,「なぜ,スリルを感じたいのか」まで,分析できていません。そして,万引きを繰り返す方々はBさんのように,家族や友人に相談することなく,一人で抱え込まれる方が多いです。
 そして,万引きを繰り返される方の中には,『クレプトマニア』(窃盗症)という精神的な病を抱えていらっしゃる方も一定数います。

クレプトマニア(窃盗症)とは?

 物が欲しくて盗むのではなく,「窃盗行為自体を体験したい」という衝動により,万引き・窃盗をしてしまうことが特徴の依存症。盗んだもの自体には興味がないため,窃取品はそのまま放置したり,捨てたりすることが多いと言われています。
 クレプトマニアか否かの判断は,心療内科や精神科の診察によってなされますが,クレプトマニアと診断を受けた場合は,心療内科・精神科医師の指導の下,
① どういうときに万引きをしたいと思うのか
② 万引きをしたいという衝動が起きた場合,どのように対処することで,再犯を回避するか
などを身に着けていく治療プログラムが実施されます。

ヴィクトワール法律事務所の弁護士への相談をお勧めする理由

 万引き,窃盗事件について,ヴィクトワール法律事務所の弁護士にご相談いただいた場合は,被害店舗との示談交渉や捜査機関との折衝はもちろんですが,クレプトマニアが疑われる方に対しては,医療機関と連携した上での弁護活動をいたします。
 1回目や2回目の万引きの段階で,クレプトマニアを始めとした精神的な問題が原因であることを突き止めることができた場合,主治医も交え,再犯回避のために何ができるのか,ご相談者様と共に模索し,不起訴処分等のより軽い処分を勝ち取れるよう,お手伝いをいたします。
3回以上の万引きの段階でご相談いただいた場合は,ご家族・ご友人による見守り態勢の構築のお手伝いや,主治医と連携の上,再犯回避のためにご相談者様ができること・努力していることを捜査機関等に主張し,より軽い処分を勝ち取れるよう,尽力いたします。

Aさん 
 「初めての万引きで大ごとにならなかったとしても,一度弁護士に相談することはとても大切なことなのね。」

Bさん・Cさん
 「よくわかりました。」

弁護士 
 クレプトマニアを始めとした精神的な問題が原因で,万引きを繰り返す方には,大変真面目な方や,人に迷惑をかけまいと精神的に自立している方が多い印象があります。精神的な問題の他,他人に頼らず,一人で抱え込んでしまうストレスも再犯に関係しているかもしれません。
 人は一人で生きていくことはできません。他人に相談することで,ご自身の精神的な負担を減らすことが再犯防止,ひいては幸せな明日のための第一歩になると思います。
万引き・窃盗事件を起こされた方は躊躇されることなく,是非,ヴィクトワール法律事務所までお問い合わせください。

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

刑事事件について高い専門性とノウハウを有した6名の弁護士が在籍する法律事務所です。

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