捜査について(概要)
捜査とは、警察や検察などの捜査機関において犯罪があると判断したとき、
公訴の提起(起訴)及び遂行(公判維持)のため、犯人を発見し、証拠を収集、保全する手続のことをいいます。
したがって、公訴を前提としない捜査は、原則的には権限の濫用に当たり、
捜査を行った者は特別公務員職権濫用罪等に問われかねません。
ただ、警察捜査は、犯罪の予防や鎮圧、被害者の救出、平穏な社会生活の維持などの機能をも有しており、
公訴の提起、公判維持に必要な訴訟条件が整わない場合に於いても捜査活動が行われることがありうるので、
捜査の目的を「公訴の提起・公判維持」に限定する考え方は不合理であり、
また限定する必要性に欠けるとする説もあります。
しかし、この説は、刑事訴訟法の体系からはみ出し、
警察権の発動や行使そのものを刑事訴訟法のいう「捜査」に無理矢理押し込もうとしているように思われます。
公訴を前提としない警察権の発動や行使は特別法等の制定をもって行われるべきもので、
安易に捜査の概念を拡張すべきではないと考えます。
捜査機関は、職務質問、告訴・告発などの捜査の手がかり(通常、捜査の端緒[たんちょ]といいます)を得て、
犯罪現場の実況見分を行い、被害者や目撃者の供述調書を作成するなどして関連する証拠を集めます。
更に被疑者の逮捕・勾留、証拠の捜索・差押、被疑者及び関係者の取調べなどを行い、
公訴提起に向けて裁判に耐えうる証拠の収集の充実化を目指すのです。
この項では、捜査の端緒や任意捜査、強制捜査など捜査の大要を説明し、
その後の被疑者の逮捕・勾留や取調べ、証拠の収集などについては、別の項で説明します。
すでに「捜査の基礎知識」でも述べましたように、警察が犯罪の発生を認知した事件数は多く、
全国では平成20年に182万件で、そのうち検挙された件数は、57万件にもなります。
この数値からもご理解いただけるかと思いますが、一般の方が、交通違反や交通事故、
喧嘩などの偶発的なトラブルに巻き込まれ、突然、捜査の対象として取調べを受けるということは、
よく起こることですし、ご本人だけではなくご家族や親類、親友など身近な方が巻き込まれる場合もあるのです。
万が一逮捕されてしまった場合、大半のケースでは更に勾留という手続により、
警察署内の留置場や拘置所に10日間とか20日間、或いはそれ以上身柄を拘束されますが、
その間仕事を休まなければならず、失業や取引停止に追い込まれる場合もあります。
長い間、家族や知人との連絡を断たれた場合の心理的な不安やストレスや経済的な
不利益や損失は大変なものです。
また、何度か警察に呼び出されたりして、いつ逮捕されるか心配で心が安まらないという方から
相談を受けたこともあります。
ご本人や関係者の方が逮捕されたり、捜索・差押えを受けたりした場合だけではなく、
警察の捜査が行われようとしている場合にも、まずは当事務所に気軽にご相談下さい。
長い捜査経験に基づき、速やかに対応策などを提案させていただきます。
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