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窃盗罪とは
窃盗罪は、「他人の財物を窃取」することによって成立します。
窃盗は他人の占有する財物をひそやかに盗み取ることという意味ですが、ひったくりのような場合にも窃盗罪に当てはまります。他人の物を自分の支配下に置いた時点で、既遂となります。
暴行・脅迫を手段としていないという点で強盗罪とは異なります。
窃盗罪の刑罰は、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。(刑法235条)
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窃盗罪で逮捕される可能性の高いケース
・被害額が大きい場合
・再犯の場合
・余罪がある場合
・身元が定まっていない場合
・容疑を否認している場合(罪証隠滅のおそれがあるとみなされること多い)
窃盗罪で逮捕されたら
逮捕された場合、検察官による最終処分(起訴・不起訴を決める処分)まで最大23日間、身柄拘束されることがあります。その流れは以下のとおりです。
逮捕から身柄送致 最大48時間
身柄送致から勾留請求 最大24時間
勾留 10日~20日間
起訴後勾留 期限の定めなし(最長判決が出るまで)
逮捕から勾留請求まで
逮捕された警察署で取り調べを受けることになります。逮捕から48時間以内に事件と身柄が検察庁に送致されます。検察官の取り調べで、さらなる身柄拘束の必要があると判断した場合は、裁判官に被疑者を勾留するように請求します。
また、逮捕から勾留が確定するまでの間(最大で72時間)は、弁護士以外の面会は認められない場合がほとんどです。
勾留
勾留とは逮捕に引き続き身柄を拘束する処分のことを言います。
勾留するには、「罪を犯したことを疑うに足る相当な理由があること」に加え、以下の3点のうち、ひとつ以上該当することが必要となります。
・決まった住所がないこと
・証拠を隠滅すると疑うに足る相当の理由があること
・被疑者が逃亡すると疑うに足る相当の理由があること
検察官の勾留請求が裁判所に認められた勾留決定が出された場合には、最大で10日間の身体拘束を受けることになります。さらに、捜査が必要と検察官が判断した場合にはさらに10日間勾留が延長されることがあり、最大で20日間勾留される可能性があります。
検察官による最終処分
検察官はこの勾留期間に取り調べの内容や証拠を審査し、起訴か不起訴かを判断します。窃盗事件においては、起訴につき、公判請求(正式裁判の請求)か略式請求(裁判所に書類だけ送付しての罰金刑の請求)の2種があります。
略式請求の場合を含め、一旦、起訴されれば、ほぼ確実に刑事罰を受けることになります。
不起訴となれば前科がつくことはありません。もし、被疑者が犯行を認めていたとしても、犯行を立証するに足る証拠がない、情状(被疑者の性格・年齢・境遇・行為の動機や目的など)を鑑みて処罰の必要がないなどの理由から検察官が不起訴の判断する場合があります。
窃盗罪の弁護活動
示談交渉
窃盗事件で少しでも軽い処分を得るためには、被害者と示談をし、被害弁償をすることが重要です。被疑者・被告人が身体拘束されている場合、ご本人が示談交渉に動くことは物理的に不可能ですから、弁護士が代理人として示談交渉に動かざるを得ません。この場合の弁護士の必要性は明らかです。
他方、被疑者・被告人が身体拘束されていない場合や身体拘束から途中で解放された場合であっても、加害者と直接のかかわりを持つことを嫌悪する被害者の方が多いため、弁護士が示談交渉に臨むことには大きな意義があります。
そこで、刑事事件の経験が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
窃盗罪の解決事例
解決事例1 被害店舗との示談交渉をしたケース
今井さん(仮名・75歳女性)は万引きをしてしまいました。依頼を受けた弁護士は、万引きをしてしまった金物屋と文房具屋に行き、示談交渉を行い、双方とも示談を成立させることができました。
相手方の文房具屋店主の方は、
「高齢者の万引きは結構多くて、とても悩んでいます。今井さんのように、謝罪を申し入れてくれる人は滅多にいないので、弁護士さんから連絡を受けて、とても驚きました。今井さんが万引きをして、警察を呼んだ時、今井さんから被害品の買取をしてもらっていますから、二度とうちの店舗に来ないと約束してくれればもう充分です。」
と言ってくださり、無事示談が成立しました。
解決事例2 被害者との示談交渉をしたケース
里村さん(仮名・37歳男性)は、ゴルフ店での万引き、他人の家の玄関先に置いてあった発電機の窃取をして逮捕されました。依頼を受けた弁護士は、①万引きしてしまったゴルフ用品店、②玄関先に置いた発電機の窃取被害に遭った男性の元に赴き、示談交渉を行いました。
①のゴルフ用品店には被害弁償を行うに留まりましたが、②の男性には謝罪金を支払い、かつ「宥恕(ゆうじょ)する」という、里村さんの犯罪を許す旨の一文をいただく内容で示談を成立させることができました。