再逮捕とは?再逮捕の流れ・事案を弁護士が解説

再逮捕とは

再逮捕とは、すでに逮捕・勾留されている被疑者を釈放直後や勾留中に再び逮捕することです。
一般的には、逮捕や勾留されている事件とは別の犯罪事実について再逮捕が行われることになります。

再逮捕の回数

被害者が複数いる場合など、その被害者の数に応じて再逮捕することも理論上可能です。
例えば、被害者が10人いた場合、被害者1人目に対する嫌疑で初回逮捕をした後、2人目の被害者の関係で2回目の逮捕(再逮捕)、3人目の被害者の関係で3回目の逮捕(2回目の再逮捕)…と行うことは可能ではありますが、それでは非常に長い勾留期間が認められてしまいかねず、人権侵害になりかねないことから、すべてについて再逮捕されるケースはまれです。

再逮捕されるケース

以下のような場合に再逮捕される可能性が考えられます。

⑴ 余罪がある場合

1月1日に窃盗罪で逮捕されたが、その取調べの中で1月3日にも窃盗したことが発覚した場合には、「1月3日の窃盗の件」で再逮捕されることになります。

⑵ 別件逮捕の場合

本当は殺人罪の嫌疑(本件)で捜査をしたいものの、本件で逮捕状を請求できるほどに疎明資料が集まっていない場合に、逮捕状請求が可能なほどに疎明資料が集まっている殺人遺棄罪(別件)で逮捕することを「別件逮捕」といいます。
別件である殺人遺棄罪の取調べを進める中で、本件たる殺人罪に関する取調べも同時並行的に行い、本件である殺人罪で逮捕状を請求できるほどに疎明資料が集まると、改めて殺人罪で逮捕することになり、再逮捕に該当します。

再逮捕されやすい事件

⑴ 薬物犯罪

薬物の「所持」と薬物の「使用」それぞれに罪を構成することが出来るため、まず薬物の「所持」で逮捕され、その勾留中に尿検査等で陽性結果が出た場合、今度は薬物の「使用」で再逮捕というケースがあります。

⑵ 詐欺罪

いわゆる「オレオレ詐欺」で被害者が複数人に上る場合、それぞれの被害者ごと、もしくは架け子行為や出し子・受け子行為がなされた日付ごとに分けて、再逮捕されるケースが散見されます。

再逮捕の流れ

起訴前の再逮捕

初回逮捕の勾留中に証拠が揃えば、その勾留中もしくはその勾留満期日に処分保留で釈放された直後、再逮捕状が提示されて、通常逮捕と同様、再度身柄拘束をされることが多いです。勾留は、検察官から裁判所に対して勾留請求がなされた場合、裁判官が被疑者と面接を行い、勾留請求がなされた事件の内容について質問します。これを「勾留質問」と呼び、勾留質問の後、裁判官は、当該被疑者を引き続き身体拘束するか否かを決めます。勾留は、原則として10日間と決められていますが、引き続き勾留が必要だと判断された場合はさらに10日間延長されます。

再逮捕の場合も同様です。初回逮捕による勾留期間が20日間続いた勾留満期日に再逮捕された場合、場合によっては更に20日間の勾留がなされることもあり得ます。再逮捕が一度ではすまず、二度、三度、四度と続けば、数ヶ月もの長期間、勾留が続いてしまうケースもあります。
例えば勾留10日目に再逮捕となった場合は、勾留延長になると最大で合計30日間勾留されることになります。

起訴後の再逮捕

起訴された後に再逮捕され、再逮捕された事件でも起訴された場合、最初の起訴を「本起訴」、2回目以降の起訴を「追起訴」と呼びます。
本起訴された事件と追起訴された事件は、まとめて同一の手続で審理されるケースが一般的です。判決もまとめて言い渡されることになります。

弁護士ができること

勾留は10日ないし20日と期間が決まっていますが、再逮捕されてしまった場合はさらに長期に渡って身体拘束を受けることになります。そのような事態になってしまうとさまざまな不利益が生じることが予想されます。
再逮捕を防ぐためには、事案にもよりますが相手方との示談や被害弁償などが必要になります。弁護士が示談交渉に臨むことによって、被害者の立場にも理解・共感を示しつつ、丁寧な事情説明等により被害者のストレスを軽減し、結果として示談が成立する可能性が高まります。

 

再逮捕を回避することは、イコール「身柄拘束期間の短縮」につながります。
再逮捕のおそれのある刑事事件でご相談のある方は、是非、ヴィクトワール法律事務所までお問い合わせください。

 

再逮捕の事例

【事案】給付金詐欺事件

民泊事業を営んでいたAさんは、実際に宿泊した人数を水増しして、給付金を受領していました。

【弁護士による刑事弁護活動】

■被疑者段階
Aさんが水増し請求をした人数は100名近くに及んでおり、また事務局に給付金を申請した日付も、「6月1日・7月31日・8月20日」と3日間にまたがっていました。詐欺罪は一般的に立件の難しい事件であるため、捜査機関も取調べ日数を稼ぎたいと思うのが通常です。
弁護士は、Aさんに対して、複数回、再逮捕がなされる危険性を予測して、なるべく少ない逮捕で済むよう、弁護活動を行いました。
具体的には、Aさんは自身が水増し請求したことを認めていたため、取調べでは積極的に自供をし、捜査協力を行う姿勢を見せるという方針で進めました。

Aさんは6月1日に給付金の水増し申請をした件で初回逮捕をされた後、やはり7月31日に給付金の水増し申請をした件で、再逮捕をされ、更に20日間の勾留を受けました。
そこで弁護士は、再逮捕後の勾留15日目に担当検察官に連絡し、「8月20日の給付金申請について、3回目の逮捕をしないで欲しい。2回目の逮捕による勾留満期日に、6月1日と7月31日の給付金水増し申請の被疑事実について起訴をして欲しい。起訴後もAさんは取調べに協力するので、そこで8月20日の水増し申請について、Aさんは積極的にお話をします。」と掛け合いました。

その結果、Aさんは3日目の逮捕を免れることができました。

■被告人段階
起訴されて「被告人」となった後は、保釈請求が可能となります。
弁護士が保釈請求を行ったところ、これまでのAさんの捜査に協力的な態度も評価され、逃亡や罪証隠滅のおそれは極めて低いとして、Aさんの保釈が認められました。
Aさんは働きながら、事務局に被害弁償する資金を稼ぎ、並行して捜査機関からの呼び出しに出頭して、8月20日の水増し申請についても積極的に捜査協力しました。

■判決
Aさんは保釈後の稼ぎと親族からの援助もあり、事務局に対して、給付金と違約金、利息を含めた全額を返済することができました。
その結果、執行猶予判決を得ることができました。

執筆者

ヴィクトワール法律事務所

刑事事件について高い専門性とノウハウを有した6名の弁護士が在籍する法律事務所です。

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