目次
刑事事件の種類
(1)刑法犯と特別法犯
刑事事件(犯罪)は、刑法犯と特別法犯に大別されます。
刑法犯とは、「刑法」に規定された様々な罪に関し、その罪の内容(構成要件)に従って処罰される犯罪をいいます。
特別法犯とは、「刑法」以外の法律に規定された様々な罪に関し、その罪の内容(構成要件)に従って処罰される犯罪をいいます。
刑法犯でも特別法犯でも、各法所定の罰則に従って処罰されることには変わりがありませんので、罰則のある特別法も広い意味での刑法ということができます。
特別法犯は、例えば、常習的に窃盗を繰り返したり、暴力を繰り返した者を処罰する刑法犯によく似たもの(盗犯等処罰に関する法律、暴力行為等処罰に関する法律)から、会社法など本来民事関係の法律に定められた規定に違反した者を処罰するものなど広い範囲で法律や条例に規定されています。
そして、この特別法犯はその処罰規定が設けられている法律や条例が年々増加しており、単に刑法に規定されている犯罪を行っていないからと言って安心しているわけにはいかないのです。日頃からニュースをご覧になるなどして、種々の法律や条例に処罰規定が存在するか否か、そして、ご自分に当てはめた場合、どのような点を注意すべきか、ときには弁護士に相談されることをお勧めします。
最近では、企業の従業員による内部告発が増加しており、信頼する部下達と話しているのだから、このようなことは外に漏れることはないと考えて法に触れる行為を行ったりすると、監督官庁や捜査機関にその内容が知らされ、ときには録音された状態で、テレビ等マスコミにも流されて報道され、大きな不祥事となるばかりか、関係者が逮捕され起訴される場合が頻繁に報じられていることも事実です。
このような不祥事が報道されると、銀行等金融機関や取引先からの信用を失い、従業員が離反するなど極めて大きなリスクを抱えることになり、ときには倒産に至ることもご存知のとおりです。このような不祥事を起こさないためにも、刑事リスクに詳しい弁護士から問題点を事前に確認されるとよいと思います。
(2)刑法犯の種類
刑法犯は以下のように、大きく分類できます。
①人の生命、身体、自由、名誉等に関する罪(下記警察庁統計①②+わいせつ、逮捕監禁、住居侵入)
②財産に関する罪(同③④+占有離脱物横領、器物損壊を含み、偽造、汚職、あっせん利得を除く)
③公共の秩序や安全、国家の存立や作用に関する罪(偽造、汚職、あっせん利得、公務執行妨害等)
警察庁の統計では、以下のとおり、刑法犯を「凶悪犯」、「粗暴犯」、「窃盗犯」、「知能犯」、「風俗犯」、「その他の刑法犯」の6種に分類しています。
1.凶悪犯………………殺人、強盗、放火、強制性交等(強姦・不同意性交等罪)
2.粗暴犯………………暴行、傷害、脅迫、恐喝、凶器準備集合
3.窃盗犯………………窃盗
4.知能犯………………詐欺、横領(占有離脱物横領を除く。)、偽造、汚職、背任、「公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律」に規定する罪
5.風俗犯………………賭博、わいせつ
6.その他の刑法犯……公務執行妨害、住居侵入、逮捕監禁、器物損壊、占有離脱物横領等上記に掲げるもの以外の刑法犯
(3)特別法犯
特別法犯は、多種多様であり、まとめることが困難ですが、分類すると15種類くらいに分けられます。
刑事事件として検挙されるのは刑法犯に類似する特別法犯以外では、道路交通法違反、銃刀法違反、出管法違反、迷惑条例防止法違反や覚せい剤や麻薬等の薬物事犯がほとんどです。
先に述べたとおり、刑法犯でも特別法犯でも、各法所定の罰則に従って処罰されることには変わりがありません。社会生活や企業の経済活動は、刑法よりも数多ある特別法によって規律されている範囲が大きいのが事実です。先に述べたとおり、日頃からニュースを確認し、個人の活動や企業の経済活動を規律する法分野をチェックするなどして、刑事罰を受けるリスクがないかどうかを確認されることをお勧めします。
当事務所の弁護士は、刑法上の犯罪のみならず、特別法上の犯罪にも詳しく、刑事弁護等を行った経験を有しております。個人の活動や企業の経済活動のリスクに関してお悩みをお持ちでしたら、早期に当事務所の弁護士に相談されることをお勧めします。