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刑事事件とは何ですか?
刑事事件とその内容について
刑事事件とは、法律の適用によって刑罰を受けることになる事件のことです。争いごとや、望まれない行為は多数ありますが、その中の一部について、法律によって罰を与えることとされているものです。
刑事事件での刑罰は、必ず裁判を経て行われます。そして、裁判の中では、起訴された被告人は、弁護活動をする権利が保障されています。また、私人が、他者に対して独自に刑罰を与えることはできません。そして、刑事裁判の起訴についても、原則として国家機関である検察官が行います。
刑事事件のながれ
被害届の提出や告訴告発などにより、捜査機関(警察)が犯罪の発生した可能性があることを認識することで刑事事件の手続きが始まります。
捜査機関(警察)は、事件を捜査して、事件の詳細を明らかにして、捜査が終了したと判断した段階で、事件を検察庁へ送ります。検察官は、捜査機関(警察)から送られた事件について、必要であれば追加の捜査を行い、被疑者の処罰を求め裁判所に起訴するか否かを決定します。
被疑者は、弁護人を選任する権利があります。刑事事件は、法律に基づいた専門的な手続きであるため、法律の専門家である弁護士が被疑者の防御を行うのです。この弁護人は、被疑者が自ら選ぶこともできますし、資力が十分でない場合などでは、国選弁護人の選任を求めることもできます。国選弁護人は国側が選任するのですが、弁護人として選任された以上は、被疑者のために職務を行いますし、弁護方針に国から指示や意見が出されることはありません。
起訴された被疑者は被告人と呼ばれることになりますが、起訴された場合は、裁判所で審理が行われ、有罪または無罪かの判決が言い渡されます。第一審の判決に不服がある場合、被疑者側及び検察側ともに高等裁判所に控訴することができ、さらに高等裁判所の判決にも不服がある場合、最高裁判所に上告等をすることができます。
刑事事件と民事事件との違い
他方で、民事事件は、基本的には私人同士が当事者となります。そして、一方が他方を罰するというものではなく、私人関係において生じた紛争を解決するのが民事事件です。民事事件で相手の主張が認められたからといって、主張が認められなかった側が罰を受ける訳ではありませんし、罪を犯したと評価されるわけでもありません。
ざっくりと言ってしまえば、民事事件はお金の問題であり、刑事事件は国家による処罰の問題です。もちろん、事件によっては、民事事件と刑事事件が両方問題になることも珍しくありません。例えば、人を殴ったという傷害事件を考えると、傷害罪としての処罰は刑事事件の問題ですし、被害者から加害者への損害賠償請求は民事事件となります。
この賠償額を決定する際には、多くの決め事や過去の例などを参考に算出し請求するのですが、その際には専門家である弁護士の協力があれば手間取らずに適切な対応が可能なことでしょう。
ただし、刑事事件を起こし、その結果他人に損害を与えた場合においては刑罰とは別に損害賠償や慰謝料等の支払い義務が発生します。これを不法行為責任といいます。刑事事件とは別に民事事件として被害者への賠償を民事裁判として進めていくことになります。
刑事事件と民事事件のつながり
刑事事件と民事事件は別の手続きなのですが、両者が影響し合うことはあります。
刑事事件において、検察官が起訴をするかを決めるときには、事件に関連する事情を全て考慮して判断します。その考慮要素の中には、加害者から被害者への弁償なども含まれます。民事事件として決着がついている場合には、それに加えて刑事事件として処罰をする必要があるかどうかが判断されます。例えば、傷害事件において、加害者が被害者に対して、治療費や慰謝料を支払っているときに、それに加えて刑罰を与える必要があるかどうかが評価されます。
他方で、当初は民事事件であった事件が、真相が明らかになってくると刑事事件になることもあります。例えば、貸金の返還を求めていたら、実はそもそも詐欺の被害にあっていた詐欺事件であったということがあります。
このように、社会的に一つの事件で刑事事件と民事事件の双方の側面を持っていることがあります。事件を解決するときに、刑事事件としてアプローチをするのか、民事事件としてあるローチをするのか、それとも刑事事件と民事事件を両方共進めていくのか、決めなければなりません。
警察は、民事事件には直接の関与はしませんので、弁護士と相談をして方針を決めていくことになります。