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示談のメリットはなんですか?
刑事事件に巻き込まれたら
日頃、真面目に生きていても突然、刑事事件に巻き込まれることがあります。
アルコールが入ったときの軽微な諍いや、男女関係のもつれなどで、相手が警察に通報してしまえば、最悪の場合逮捕され刑事事件化してしまうのです。また、事実の捉え方は立場によっても変わってきますから、ご自身として些細な事柄と思っていても、相手にとっては多大な損害を受けているときもあります。
大した事件ではないと楽観視していると、警察の捜査が進んでいき、刑事裁判が避けられない状況になるということも、決して珍しいことではありません。そして、有罪の判決を受けてしまうと、家庭や仕事への影響がでてしまうこともあります。
示談のメリットは起訴を防ぐことにある
捜査が行われる刑事事件の全てが起訴されているわけではありません。起訴されるかについては、犯罪そのものの軽重等に加えて、犯行後の事情も考慮されます。
被害者がいる犯罪においては、被害の回復や、被害者の処罰意思が重要視されています。被害者が犯人を許しているのであれば、権力が介入して犯人を処罰する必要性が減殺されるのです。そのため、被害者がいる犯罪において、被害者が示談に応じていただけるかどうかは、起訴されるかについて、とても重要な要素となっています。
被疑者を処罰する必要性がなくなれば、起訴されるおそれが減殺されるわけですから、刑事裁判をする必要性もなくなってくるため、身柄を拘束されている場合には釈放が早まるという影響もあります。
示談に持ち込むためには弁護士の力が必要
このように示談は事実上、無罪判決を勝ち取ることに等しいものなのです。刑事裁判を受ける必要がない分、早期に事件が解決するというメリットもあります。そのため、被疑者とされてしまった場合は、まずは示談の可能性があるかを考えることになります。
示談の成立は、被害者が納得しなければできません。被害者の方に納得していただくには、犯罪そのものの実情を知ってもらうことも大切ですが、被害者において何が最も許せないのか、何が最も気になるのかをお聞きしなければなりません。賠償をしてもらいたい方もいれば、謝罪をしてもらいたい方もいますし、それ以外のことがらを求められる方もいます。
特に弁償を求められる場合は、直ちにそれを用意しなければなりません。後から支払うという形では、示談に応じていただける方はごく僅かです。被疑者が逮捕されているときなどは、ご家族に協力してもらって示談金を用意することもあります。
特に謝罪を求められる場合は、被疑者は逮捕されていれば直接謝罪に赴くことはできません。こういった場合は、被疑者に謝罪の手紙を用意してもらい、それをもとに被害者とお話をすることになります。
そして、このような示談交渉を誰が行うかとなると、適切な者は弁護人ということになります。被疑者本人は、逮捕されてしまえば被疑者と交渉することはできません。被疑者のご家族が対応することは考えられなくはありませんが、被疑者本人の身内の者となると、やはり冷静な対応は難しいでしょうし、どうしても被疑者を庇うような形になりがちです。また、やはり被疑者として、被疑者や被疑者の家族とやり取りすることを望まないことがほとんどです。
弁護人は、被疑者の代理人としての立場ではありますが、被疑者本人やその家族ではありませんから、第三者的な立場から、被害者の考えにも配慮し、どのような内容であれば合意ができるのか考えていくことになります。また、弁護人は、刑事事件との関係において、どのような示談を得られればよいかを考えますし、警察や検察官に対して説明することも考えて示談を行います。
弁護士であれば必ず示談ができるという理由はありませんが、弁護士が対応した場合の方が、示談が成立し、早期に釈放される可能性は高まるといえるのです。