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現実の弁護士とドラマの弁護士の違い
現実の弁護士は複数の案件を抱えている
サスペンスドラマなどでは、弁護士が華々しく刑事事件を解決する姿が描かれます。では、現実の世界で活躍する弁護士も、サスペンスドラマのように格好よく活躍しているのでしょうか。
実は、ドラマの弁護士と現実の弁護士との間にはいくつかのギャップがあります。その中の最たるものとして挙げられるのは、日々の多忙さです。テレビドラマの弁護士は、物語の主題となる刑事事件だけを取り扱っているように見えますね。
ところが、現実の弁護士は刑事事件だけでなく離婚訴訟や相続問題など、数十件にも及ぶ多様な事件や案件を抱えています。それらを全て同時進行で解決していかなければならないので、弁護士の日常は多忙そのもの。
ドラマの弁護士は事件解決のヒントをひらめいて、さっそうと事務所を後にしますが、現実の弁護士は事務所から出かける前に、別の依頼者からの電話がかかってきて延々と足止めされたりするのです。
現実の法廷に立つ弁護士は意外と地味
法定における弁護士の姿も、ドラマと現実では違っています。ドラマの弁護士は派手に意見を主張したり検察が出した証拠に反論したりして、それこそドラマティックに裁判を進めていきますが、現実の裁判は極めて地味です。
裁判はあくまで「手続き」といった雰囲気で進められますし、余程のことがない限り「異議あり!」などという言葉も聞かれません。もちろん、弁護士が異議をとなえることはありますが、これはあくまで検察側の手続きの進め方に異議をとなえるもので、証拠に対しての異議はとなえられないのです。
実は、テレビドラマの裁判シーンはアメリカの法定をモデルにしています。このため、現実の日本の裁判との間にギャップが生まれるのです。ちなみに、裁判長の手元にあるイメージが強い木槌(ガベル)も、日本の法定には置いてありません。
刑事弁護は不起訴を勝ち取ることが重要
ドラマと現実では、弁護士の刑事事件との関わり方も大きく違います。ドラマの弁護士は、被告人の無罪を勝ち取るために懸命に弁護を行うイメージがありますね。一方、現実で刑事事件に関わる弁護士は、被弁護人の不起訴を目標とすることが一般的です。
日本の刑法では、刑事告訴が受理されて裁判が行われた場合、高い確率で被告人は有罪となります。有罪率は実に99%を超えており、裁判が行われた時点で被告人は有罪になったも同じとなるのです。
このため、刑事事件の弁護を依頼された弁護士は、不起訴を得るために奔走します。その過程で、原告と示談交渉を行ったり、被害弁償の交渉を行うこともありますし、被弁護人に罪を認めることを勧めるケースも珍しくありません。
このように見てみると、テレビドラマと現実では弁護士のイメージがずいぶん違うことがわかると思います。次にサスペンスドラマを見る時は、こうした現実とのギャップに注目してみてはいかがでしょうか。