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公務執行妨害で捕まったらどうすればいいですか?
公務の執行を妨害する罪
刑法には、「第五章 公務の執行を妨害する罪」との章があり、その中に、「公務執行妨害罪」(刑法95条1項)が定められています。
公務執行妨害罪は、「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた」ときに成立します。法定刑は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金です。
「公務の執行を妨害する罪」にはその他に、競売手続などの強制執行を妨害する行為をとらえて刑罰が定められています。
公務執行妨害罪とは
公務執行妨害罪は、ニュースなどでも報道され、一般にも知られている犯罪であるといえます。
公務思考妨害罪にいう公務員とは、「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」(同7条)であって、その内実は様々です。よく報道されるものは、役所の職員、議員、警察官などがあげられます。
そして、公務員に対して、暴行又は脅迫を加えて、その公務員の職務を妨害すると、公務執行妨害罪が成立することになります。
公務執行妨害罪になるケース
公務執行妨害罪になる事案としては、例えば、警察官が捜査をしたりする場合に、警察官に対して暴行を加える場合があります。
警察官の職務質問について反抗をしめしたりする場合に、公務執行妨害であると言われることもあります。
また、公務執行妨害罪は、公務員の職務を妨害すると成立します(なお、裁判所は、職務の執行を妨害し得た場合に成立するとされています。)。
ですので、それを超えて、公務員に傷害を負わたときは、公務執行妨害罪とは別に傷害罪が成立することになります。
弁護士の活動
刑事事件として立件されてしまった場合には、弁護人を選任し、対応を十分に検討することが大切です。
特に、警察等の捜査機関に対する公務執行妨害罪となると、捜査機関そのものが被害者ともいえますので、捜査機関にご本人の弁明を理解させることが難しい場合も考えられます。
そのため、当時の状況などについて、他の事件と比較して、より一層丁寧に説明する必要が生じてくるといえます。
公務執行妨害罪は、それが犯罪とされるためには、公務そのものが適法であることが必要です。違法な職務に対しては、暴行罪や傷害罪はさておき、公務執行妨害罪は成立しません。しかし、どのような場合に職務が違法となるかについては、一見しては判断が難しいことがありますから、弁護士と協働して事実関係を整理することが重要です。
公務執行妨害罪は、警察官と本人が接触したときに生じる可能性がありますから、より大きな事件を調べるきっかけとして利用されやすい類型の犯罪といえます。そして、裁判所は、公務への妨害のハードルを低めに考えているところがあります。このように、いわゆる入口の事件として利用されるおそれもあることから、そのような場合には、現実的にその行為によって公務が妨害される可能性があるか等について、検討することが大切です。
もちろん、公務執行妨害罪が成立している場合に、公務執行妨害罪と合わせて傷害罪が成立する場合などについては、明確な被害者がいることになりますから、被害弁償についても考える必要があります。