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企業犯罪で捕まったらどうすればいいですか?
企業犯罪とは企業内の一部または大部分の構成員による犯罪行為
組織犯罪という言葉は法令で使われることはありますが、明確な定義はありません。広くは、単独犯によるものではなく、それぞれ役割をもった複数人により組織的に行われる事件を指します。
似たような言葉に、企業犯罪というものがあります。これも厳格な定義があるわけではありませんが、企業という組織内の複数の人物が加担して犯罪を行った場合に企業犯罪と呼称されることがあります。企業内の特定の人物が起こした事件ではなく、ある程度組織的に行われた事件という印象を与える言葉です。
連想されることが多いのは経済事犯であり、粉飾決算や脱税などは代表的な事件です。その他にも、不当な取引きを継続していたり、不祥事の隠匿をしたりということも考えられます。
企業犯罪とはいえ、内部の人間が具体的に動いた結果ですので、内容によってはその実際に動いた人間の刑事責任が問われることになります。組織内での活動であることから、全体像が見えづらかったり、事件性があると知らずに関わってしまったりすることもあります。
組織内の事件の発覚
組織内での事件は、外部からはなかなか詳細が見えてきません。そのため、内部関係者からの通報や告発が重要になります。しかし、組織からの報復を恐れるあまり、事件を通報することをためらい、自体が改善されなかったり、不当な行為を継続されたりしてしまうという自体が生じていました。
そのため、国も、平成16年に「公益通報者保護法」を定め、外部通報により通報者たる労働者を保護する姿勢を明らかにしました。
しかし、何度も報道されているように、実質的に通報者への不利益を回避することができていないとの問題が繰り返し指摘されています。
企業犯罪に課せられる処罰はどのようなものでしょうか?
大企業などでは法律違反疑惑が報道されるだけで企業イメージが損なわれ信用が失墜し企業の存続が困難となってしまうこともあります。そして、実際には法的問題はなかったことが明らかとなっても、一度失った信用は容易には取り戻せないこともあります。それが刑事事件となればなおさらのことです。
また規模が大企業や上場企業ではなくとも、銀行や出資者から疑問視されてしまえば、企業活動に制約が生じるおそれがあります。
企業犯罪は、このような社会的制裁の影響が大きいといえます。
そして、企業犯罪に関与した者に対しては、それぞれが刑事事件として処罰される可能性はあるのですが、最終的に実刑判決となる事案は多くはありません。また、関与の程度が大きくない者については、不起訴処分とされることもあります。
刑事事件は、企業犯罪の大きさの影響は受けますが、具体的にその人物がどのように関わったかが重視されます。主導的な立場であったのか従属的な立場であったのか、当該犯罪から利益を得ていたのかなどが考慮されますので、捜査にも時間がかかることが多いです。
逮捕時には捜査官の氏名と所属・逮捕令状の罪状の確認を
企業犯罪に関して逮捕された場合は、まず自分として理解している内容を把握することが大切です。企業内部の事情については、警察等の捜査機関は直ちにはその詳細がわからないことがあります。そのため、その役職にいたのであれば、当然知っているであろうとして、実際は知らない事実についても知っているとして取調べをされることもあり得ます。
そのような場合には、負う必要のない責任を負うことにもなりかねません。
他方で、認識していた内容については、素直に説明することは一つの考え方であると考えられます。企業犯罪は、基本的には共犯事件となりますので、取調べに協力し事案の解明に貢献することで、よい事情として考慮されることが考えられます。もちろん、黙秘権は認められていますし、黙秘することで非難されることはありません。
取調べへの対応については、弁護士と相談するなどして、明確な方針を定めることが大切です。