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警察や検察官が家宅捜索に入るまでの流れと捜索内容
家宅捜索とは、警察や検察官が、裁判所の令状にもとづき、自宅などを捜索することをいいます。これは、刑事事件における証拠を収集するために行われます。
裁判所の令状には、被告人や被疑者の氏名、罪名、差し押さえるべき物等、捜索できる範囲等、有効期間などが記載されています。捜索差押は、この令状に記載された範囲内でのみすることができます。
押収されてしまえば、それらの物は警察や検察官に持って行かれてしまいます。その際には、押収品目録交付書を受け取ることになります。押収品目録交付書には、被疑者や被告人、罪名、押収した物が記載されています。押収された物を確認することで、警察がどのような証拠を集めようとしているのか、事件についてどのように捉えているのかをある程度理解することができます。
押収物の還付
押収は、刑事事件のために行われますから、刑事事件が終了したり、刑事事件において必要性がないと判断されたりすれば、押収物は本人の元へ還付されます。
捜索に際しては、その場で押収するかどうかが判断されますから、押収後、やはり不要であるとして還付されること自体はよくあることです。一見して刑事事件との関連性の判断が難しいもの、例えば銀行の通帳、身分証、パソコン、手帳などは、事件との関連性がなかたっり、事件で使用されていないと判断されれば還付されます。
しかし、刑事事件と関連する、証拠としての価値があると判断された場合は、事件の終了までもどされません。警察や検察官において控えは作りますが、裁判になったときには証拠の原本があることが望ましいため、このような押収物は裁判で証拠調べが終わるまで基本的には還付されません。
本人や勤め先の業務上不可欠な物を押収され業務に支障をきたす場合等もありますから、そのような場合には、警察や検察官と、還付を早めてもらうか、コピーだけでも受け取れないか、交渉することになります。
家宅捜索の実施
家宅捜索は、基本的には突然行われます。これは、事前に予告をすると、証拠を隠されたりする可能性があるためです。
捜索においては、立会人がおかれ、被疑者や被告人本人が立会人となる場合がありますが、基本的には警察や検察官が捜索を進めることになります。令状の範囲を超えている場合は、その旨指摘すべきですが、現実的にはなかなか難しいかもしれません。また、家宅捜索は、令状に基づく強制処分ですから断ることはできませんし、日時を変更してもらうこともできません。
捜索は基本的には複数人で行われ、早ければ1時間ほど、長ければ数時間に及びます。
家宅捜索が行なわれる前に検討しておくべき対処法
家宅捜索は、突然行われますので、事前に備えておくことは難しいです。特に、身に覚えのない事件であったり、被疑者や被告人本人でなかったりする場合には、いきなり警察が自宅に正に訪ねてくることになります。また、事件によっては、被疑者を特定できない段階で、ある程度広く証拠を収集するために捜索が行われることもあります。
ただ、ご本人が刑事事件を起こしたことを自覚しているのであれば、家宅捜索の必要性を無くす方法を考える余地はあります。家宅捜索をされると、家族への影響もありますし、場合によっては近隣の方に目撃されてしまい、噂が広まってしまうことも考えられます。
事件によって事情は異なって来ますが、たとえば被害者がいる犯罪であれば、早期に弁償を行うなどしたり、また、警察や検察官が押収したいと考えているであろう物を予め警察に提供したりすることも考えられます。
警察の動きを予想することは簡単ではありませんが、弁護士と相談するなどして対策をとれば、警察がそもそも捜索の必要性を考えない形で事件が進むことは考えられます。もちろん、その場合には、捜査機関から罪証隠滅などについて不要な疑いを受けることのないように注意することは忘れないことが大切です。