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誰に相談すればよいのか
犯罪の被害に遭ったときには、警察へ通報するか、弁護士に相談するかをまず考えることになります。
弁護士は犯罪被害者からの依頼も受けています
刑事事件と弁護士と聞くと、弁護士は被疑者や被告人の側につくというイメージを持つ方が多いと思います。もちろん、それは弁護人としての役割であり、弁護士が行う業務のひとつです。
他方で、弁護士は犯罪被害者の代理人となることもあります。最近では、刑事裁判への被害者参加制度が報道などで取り上げられたり、被害者代理人が記者会見を開いたりすることもあり、犯罪被害者側の弁護士としての役割も、広く認知されてきたように思います。
犯罪被害者側の代理人弁護士は、法律の専門家として被害者側の立場に立ち、刑事事件の捜査や公判において、告訴や告発から始まり、検察庁や裁判所に対して必要な要請を行ったり、
法廷への被害者への付添や意見の表明などを行ったりしていきます。民事的なお話になりますが、損害賠償請求や加害者側との示談交渉も代理人弁護士が行い得る事柄に含まれます。事件によっては、記者会見やマスコミ対応を行うこともあります。
犯罪被害にあった場合、弁護士にどのように相談すればいいのか?
一般的な法律相談と同様ですが、法律事務所へ連絡をして、弁護士と法律相談の時間をもつことになります。弁護士に伝えていただきたいことは、ご本人として、どこまでの手続きを求めるかについてです。
弁護士と話合いをしつつ決めていくことになると思われますが、損害賠償だけを求めるのか、刑事事件として警察が立件することを求めるのか、更には刑事裁判へ参加していくことを求めるのか、大きく考えるとこのあたりを検討する必要があります。
損害賠償請求
被害を受けたときは、相手に対して損害賠償を請求することができます。交渉で話合いがまとまらなければ、民事訴訟を提起するなどして実現を目指していきます。
刑事事件としての立件
警察としては、事件の存在を認知しなければ捜査を始まることができません。
そこで、被害者から警察へ刑事事件について通報し、被害届の提出又は告訴・告発を行います。複雑な事件ですと、警察から、まずは弁護士に相談してみてくださいといわれて、そのタイミングで弁護士に相談する方が多いように思います。
刑事裁判への参加
刑事裁判そのものは、被告人に対して刑罰を与えるかどうか、与えるときはどの程度の量刑とするかを決めるための手続きです。
しかし、近年、刑事事件の当事者である被害者が、一定の重大犯罪(殺人、傷害、強制性交等(強姦)、強制わいせつ等)について、刑事裁判へ参加する手続きが整備されてきました。被害者は、忘れられた当事者とも言われ、刑事事件と被害者との関係性は、いまだ流動的なところがあります。
被害者及び被害者代理人弁護士は、刑事裁判の記録を閲覧しコピーをとること、検察官の訴訟行為にかんする意見を述べること、被告人に対する質問すること、刑事事件に対する最終的な意見を述べることなどをすることができます。
また、刑事裁判へ参加する中で、損害賠償について刑事和解をしたり、損害賠償命令を求めるという方法もあります。損害賠償命令は、刑事事件そのものの裁判に引き続いて行われますので、通常の民事訴訟を適する場合と比べて、被害者としては簡易かつ迅速に手続きを進めることができます。