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拘留とはなんですか?
拘留と勾留は別のもの
刑事事件に特有の法律用語はいくつかあります。日頃使っている言葉でも、法律上は別の意味であったり、少し意味がずれていたりすることもあります。弁護士も、ついつい法律用語を使ってしまい、相談者を困らせてしまうこともありますので、言葉には注意しています。
法律上の用語で、読み方が全く同じものとして、「拘留」と「勾留」があります。漢字も似ており、同じ意味だと思われている方もいるかと思います。しかしながら、これらの意味は異なります。
「拘留」とは、刑罰の一種です。拘留さえるということは、前科がつくということです。他方で、「勾留」とは刑罰ではありません。捜査段階では、逮捕に引き続き行われる身体拘束になります。
勾留されたらどうするか
刑事裁判で起訴される前に勾留された場合は、長ければ20日間、身体を拘束されることになります。20日間という期間の長さは、働いている方であれば、職場との関係で致命的影響を与えることが多いですし、学生であれば単位の取得が困難になることも十分に考えられます。
勾留された場合には、その勾留が必要なのか、勾留を早期に終了させて釈放する方法がないか、弁護士に相談すべきです。もちろんご本人が弁護士と相談することはできますし、ご家族の方が弁護士に相談し、早期に釈放する方法がないか検討することもあります。
また、勾留は刑事裁判で起訴された後にも行われます。起訴前から勾留されているときは、そのまま起訴の勾留も続きます。数は多くないですが、起訴後に初めて勾留されることもあります。起訴後の勾留では、起訴前の勾留とことなり、保釈という制度があります。これは、起訴された時点で基本的には捜査が終わっているためなどから、設けられている制度です。
保釈にももちろん要件はあり、保釈されない事案もありますが、起訴されて保釈でようやく外に出てこられたというケースは多いです。
拘留とは刑罰です
拘留とは、刑罰の種類をいいます。刑法では、「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。」(刑法9条)と定めています。拘留とは、主刑の中で、科料に次いで軽い刑ということになります。
拘留とは、1日以上30日未満、刑事施設に拘置される刑罰です(刑法16条)。刑事施設から出られないということで、懲役や禁錮と同様に自由を奪われる自由刑の一種になります。
しかし、この拘留という刑罰は、現在ではほとんど言い渡されていません。この理由はいくつか考えられますが、そもそも拘留を言い渡すことができる犯罪が少ないことです。刑法では、公然わいせつ罪(刑法174条)、暴行罪(刑法208条)、侮辱罪(刑法231条)だけです。公然わいせつ罪と暴行罪では罰金刑が可能であり、有罪とされるときには、初めての有罪判決であっても罰金刑が言い渡されることが多いです。侮辱罪は、そもそも立件される件数も少なく、起訴されるときも略式手続により科料が言い渡されることが多いです。
とはいえ、拘留は刑罰ですから、前科になります。勾留と拘留の言葉を使い間違えて、失礼になってしまったり、無駄な誤解を招いたりすることはありえますから、気がついたときには言葉の意味を確認されると良いでしょう。