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刑事裁判の流れを教えて下さい
人定質問・起訴状の朗読・黙秘権の告知について
刑事事件の裁判においては、まず被告人に対して人定質問が行われます。
人定質問というのは、被告人に氏名・年齢・職業・住居・本籍に尋ねるものです。
次に検察官が起訴状を読み上げます。
起訴状には、
・起訴状での被告人は誰か?
・どのような犯罪を行ったのか?
・その犯罪は刑法の第何条の何罪にあたるのか?
が書かれています。
検察官が起訴状を読み上げた後に、裁判官は黙秘権について説明します。
黙秘権とは「被告人は自分に不利になることは言わなくていい」ということです。
被告人・弁護人の陳述まで事件に関する発言は出来ない
実は被告人はこの陳述まで、事件に関する発言ができません。
ここではじめて検察が読み上げた起訴状の犯罪を行ったのか?
その犯罪を起こさなければならなかった弁解や事実関係が異なる部分がある、などについて述べることが出来ます。
罪を素直に認めれば波風が立たずに刑事事件の裁判が進んでいきますが、認めない場合は検察と弁護士が争うことになります。
証拠調べ手続きでは検察が裁判で被告人の犯罪を立証する
証拠調べ手続きとは、検察が裁判で被告人の犯罪を立証することです。
刑事事件では検察が被告人の犯罪を確実な証拠をもとに証明する責任があります。
検察は刑事事件の裁判を起こすにあたって起訴状以外のものを提出することができません。
この理由は、裁判がはじまる前に検察が被告人に不利な証拠を提出してしまうと、裁判官が先入観をいただき、被告人に不利な判決を下してしまう可能性があるからです。
証拠調べ手続きは以下のような流れで行われます。
1.冒頭陳述
冒頭陳述とは、提示した証拠でどのような事実を証明しようとするかを明らかにするために行われます。検察官の冒頭陳述の後に、被告人や弁護士も冒頭陳述を行うことができます。
2.証拠調べの請求
冒頭陳述後に検察官は事件に関係がある証人の尋問、証拠物や鑑定の請求を行います。。被告人又は弁護士はこれに対し、証拠意見を述べます。事実関係を検察と弁護士が争わない場合、「同意します」「異議はありません」等の意見を述べることになります。
また、事件と直接関係がないものや、まだ特定されてないような証拠は裁判所に却下されます。
3.証人尋問・被告人質問
刑事事件では検察と弁護側の言い分が食い違うとき、証人尋問・被告人質問証人において何が行われていたかを明らかにします。尋問は証人を連れてきた側から尋問します。これを主尋問といい、後から相手側が行う尋問を反対尋問と言います。
被告人質問とは、被告人が証言台の前に立ち、弁護士、検察官、裁判官からの質問に対して答えていく手続きです。
被告人質問では、なぜ罪を犯してしまったのか、今後罪を犯さないためにどのようなことを行うのか、今後どのように生活をしていく予定なのかなどを被告人は述べます。
論告・求刑
被告人質問が終わると、検察官は論告・求刑を行います。論告とは、事実及び法律の適用について意見を陳述する手続きをいいます。その後、被告人に対して適当と考えられる刑罰を求刑します。
被告人・弁護人の最終陳述後、判決期日に判決が述べられます
最後にかならず被告人・弁護人が発言できる機会が与えられます。
ドラマなどの裁判の最後に裁判長が「被告人、今回の被告事件について最後に何か言いたいことはありますか?」と尋ねる場面がありますが、これが最終陳述です。
その後、判決期日に裁判官は判決を述べます。
一般的に判決期日は、初公判から1、2週間後が多いようです。
民事と異なり、刑事事件ですので、懲役などの年数が言い渡されます。
執行猶予がつく場合は、主文で懲役刑等の言渡しから、わずかに間をあけ、執行猶予の言渡しがされる場合が多いです。